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ドイツの大学が行った研究によると電力のみで半永久的に加速力を得ることができるEM ドライブ(Electromagnetic Drive)の再現実験に成功したと発表されています。

ドイツのドレスデン工科大学が行なった研究によると、2001年にイギリスのSatellite Propulsion Research社が発表していたまったく新しい推進機関『EMドライブ』について、電力からマイクロ波を放出することで推進力を得ることができたとする再現実験に成功したと総会で発表されました。

ドレスデン工科大、推進剤が必要ない新方式の電気推進機関「EMドライブ」の再現試験に成功 - Technobahn

実はこのEMドライブについては、特に物理学者から「ニュートン力学の第三法則(作用・反作用の法則)に反している」と指摘を受け完全否定されていた推進機関です。
しかし、2007年に中国の中国西北工業大学がEMドライブの再現実験を行なった結果、2.5kWの電力を使用したシステムで720mNの推力を得ることができたとして同社が主張していた結果に近い推力が得られたと発表していました。また2015年4月にはNASAのジョンソン宇宙センターが真空装置を用いて開発したEMドライブの稼働試験を行なった結果、「(製作された作られたEMドライブからは)イオンエンジンと同等の推力を得ることが実証された」と発表したことで注目を集めていました。

▼NASAが行なったEMドライブ試験
EMドライブ

この2つの研究には学者から反論があったとされているのですが、今回ドレスデン工科大学も再現実験に成功したことからEMドライブが推力を発生させることはほぼ間違いないとされているそうです。


EMドライブが実際に推進力を発生させた場合、原子力等で2MW程度の電力を供給できれば火星まで片道約70日。これまでの化学ロケットよりも半分以下の短い期間で到達することができる計算になるそうです。
 
その他にも地球を周回する人工衛星や国際宇宙ステーションなどは定期的に高度を押し上げる必要があったのですが、EMドライブが搭載できれば消費する燃料も無いため長期間の運用が可能になるという利点があるとのことです。