ブーメラン星雲

宇宙には想像を超える巨大な星から現象まで発生しています。その1つとして最も冷たいとされる領域、『ブーメラン星雲』について新たな研究結果が発表されています。

地球から見てケンタウルス座の方向、約5000光年離れた位置にこれまで観測された宇宙全体で最も冷たいという領域が存在します。この特殊な領域に最新の電波望遠鏡が向けられました。

ブーメラン星雲は、微小な塵の粒子でできた濃い『雲』に覆われていて内部を見ることは不可能でした。しかし、星雲内の一酸化炭素の分布をミリ波等によって観測することで、その雲の内部を見通すことに成功しました。塵の雲は中心にある白色矮星にかぶさっており、そこから中心星の光が、互いに逆方向へ細く漏れ出ており、このことで砂時計のような形に見えるとしています。

ALMAで見たブーメラン星雲
▲最新の研究で明らかになったブーメラン星雲の形。(青く見える部分はこれまでも観測されていた)

ブーメラン星雲の温度はわずか1ケルビン。これは星雲の中心部からは、164km/sというイオン化したガスが吹いており宇宙空間に拡散し、膨張する際に温度が下がり、この低温に達すると考えられています。

アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計

アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計_1
▲アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計

今回観測に使用された望遠鏡は2013年10月に稼働したばかりのもので、チリの標高5,000mに設置 されています。これはアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)という開口合成型電波望遠鏡で高精度パラボラアンテナを合計66台を1つの望遠鏡として活用しています。

同施設は1980年代に日本天文学会の天体電波研究委員会とアメリカ天文学会が天体電波研究が発案した次世代計画が元になっており、その後、東アジア(日本・台湾)・北米(アメリカ合衆国・カナダ)・ヨーロッパの国際共同プロジェクトとして建設されました。

参考:WIRED.jp,Wikipedia