Ultrastar He6

Western Digitalの子会社、HGSTから発売されたのは内部にヘリウムを充填したというこれまでにない方式のHDD「Ultrastar He6」です。容量は3.5インチ規格のモノで過去最大の6TBとなっています。

Western Digitalの子会社のHGSTは11月4日、ヘリウムガスで満たした新方式のHDD「Ultrastar He6」を発売開始することを発表した。

Ultrastar He6はハードディスクの内部をヘリウムガスで満たすことによって、ディスクドライブ内部に生じる物理的抵抗を軽減させた新方式のHDDとなる。同社では、ヘッドの移動抵抗とディスクの回転抵抗が軽減されることによりディスクの密度をより高めることが可能としており、これらの技術を利用することにより従来品では4TBが上限だった3.5インチHDDの最大容量を6TBまで高めることに成功したとしている。

Ultrastar He6

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今回のヘリウムを充填しているという新開発のHDDなのですが、実は昨年の9月にHGSTが開発を発表しており、その時は「2013年中の製品化を目指す」としていました。

このHDD内部にヘリウムを充填するという技術について、HDDを製造販売している業界では実に10年ほど前から研究が行われているとされ、 HGSTについては2006年前後から研究開発が始まったとされています。


HDDの最大容量については内部で回転している円盤(プラッタ)の数と1枚あたり記録密度で左右されます。今回ヘリウムを充填することでプラッタの回転時の空気抵抗を減らすことに成功し実に7枚構成を実現しました。

また細かい性能を見るとアイドル時の消費電力が5.3ワット、ランダムアクセス時の消費電力が5.7ワットとなっており、一般的に使用されている従来型に比べ特に動作時の消費電力が半分以下に抑えられている感じです。消費電力についてはHGST社は「1T(テラ)バイト当たりの消費電力を約45%削減できる」と主張しています。さらに、MTBFという平均故障間隔も従来品の2~3倍の200万時間を誇っています。
重量についても5枚構成の従来型に比べ50g軽く、発熱も抑えられているという特徴があります。

容量・消費電力・故障もしにくいというまさにいいコトずくめのHDDなのですが、残念ながら私達が購入できるようなリテール販売はなく、サーバーメーカー向けの提供を行うとしています。