エネルギア

知る人ぞ知る、旧ソ連のロケット『エネルギア』まさかの復活?ロシアメディアによるとロシア連邦宇宙局(ロスコスモス)は長官直属の作業グループによるエネルギアに似た超重量級のロケット製造に向けた提案を行うとしています。

ロスコスモス内に、長官直属の作業グループが作られた。このグループは、超重量級の宇宙ロケット製造に向けた提案が準備される。ソ連時代、一般機械製作相を務めたオレグ・バクラノフ氏が明らかにした。

バクラノフ氏によれば、ロケットはソ連時代に作られ複数使用型宇宙船「ブラン」の打ち上げ用に用いられた「エネルギア」に似たもので、現在「管理ステーションとして宇宙開発に従事し、絶えずシフト形式で火星や月などで作業するため、現在そうしてものが必要とされている」との事だ。

The Voice of Russia 
現在ロシアの宇宙開発がどういった方向に向いているのかは詳しくは分からないのですが、調べたところ過去の話しとして、2012年3月にロシアは『2030年までの宇宙事業発展戦略』というものを作成しています。この全文は明らかになっていないものの、2030年までに宇宙飛行士の月での常駐にむけて月面探索が事前に行うことと、金星と木星に探索機の打上げ、火星には一連の研究ステーションを展開するとしています。

また今回のエネルギアに似たロケットの存在についても書かれており、「ボストーチヌイ」宇宙基地より打ち上げる「積載能力180トンの重量ロケット」と「再利用できる宇宙船の開発」をするとされています。


衛星ポリウスを打ち上げるエネルギア

謎の重量物打ち上げロケット

今回バクラノフ氏が明らかにしたエネルギアに似たロケットはいったいどのような形になるのでしょうか。エネルギアについてはいくつかの派生形が計画されていました。エネルギアの中で打ち上げ能力が最も低い「エネルギア M」、ブースターが飛んで帰って着陸する完全再使用型の「エネルギアII」、最大175トンの積載能力があった「ヴァルカン(ヘラクレス)」の3つです。

エネルギア M
▲エネルギア M
エネルギアII
▲エネルギアII

ヴァルカン(ヘラクレス)
▲ヴァルカン(ヘラクレス)

2030年までの宇宙事業発展戦略で出てくる「積載能力180トンの重量ロケット」とは積載能力175トンのヴァルカンに匹敵する規模なのですが、こちらはエネルギアに似ているというよりも、どちらかというとプロトンロケットシリーズ似ています。

何れにしても180トンというのは実現すればこれまで作られたどのロケットよりも頭ひとつ出る打ち上げ能力になるんですが、今のロシアがそういった物を作る余裕があるのかが疑問です。とは言え、NASAが深宇宙や月、小惑星探査を目指す新型ロケットの開発を進めているので、ロシア側もその流れになるというのは偶然ではないのかもしれません。

Photo:Космический корабль Буран