声で人間の身長が分かる

人それぞれ声は違いますが、最新の研究によると人は声を聴くだけで相手の身長を判別できる能力があるといいます。

 人間が声から身長を判別できることは、過去の研究においても示唆されている。しかし今回の研究は、その能力を証明するだけでなく、判別の手がかりにしている可能性のあるものを明らかにした。それは、喉仏(喉頭から突起している軟骨の塊)より下の下気道で生じる音だ。

 ミズーリ州セントルイスにあるワシントン大学の心理学者で、今回の研究を率いたジョン・モートン(John Morton)氏はこの音について、瓶に息を吹きかけたときに出る音のようなものだと説明する。

 大きく背の高い瓶は、小さく背の低い瓶に比べて、音がよく響く。しかし瓶の場合と違い、人は単によく響く太い声を高身長の手がかりにしているわけではないと、モートン氏は述べる。

National Geographic
モートン氏の研究チームは声と身長の判断材料になっているのは声の太さや響きではなく下気道で生じる音のわずかな技術的差異であるとし、実験を行いました。

研究チームはこれまで集めた下気道の音のデータを有する音声から被験者24名に「2つの声を聴いてどちらの人物がより背が高いか」、「声を聞かせて5人を身長順に並び替える」という2つの実験をしました。結果、正答率は平均62.17%で、適当に答えた場合よりも高かったとしています。

ただ、今回の実験では被験者は下気道音のみを聞いたわけではなく、ごく自然の話し声であり、これは喉仏より上の声道で生じる音も身長に関する情報を含んでいるとしています。

研究チームによると、「下気道音だけが身長を判別している」ということを証明することは困難であり、今後さらなる研究が必要だとしています。

今回被験者に聞かせた声は米大学が集めた音声データベースからで、言語は英語なのかフランス語なのかは明らかになっていません。仮に日本人が全く聞いたことのない言語の声を聞いた時、『正答率62.17%』になるのかは疑問です。

photo:Jason Bergman