GATRアンテナシステム

僻地で情報通信を行う場合、人工衛星を経由しなければなりませんが、そこで使うパラボラアンテナはどのようなものがあるのでしょうか。今回、米軍が採用したのは空気で膨らませて使う軽量のパラボラアンテナです。

「現代戦は情報戦だ」などと言われていますが、敵の情報を得て有利に戦闘を進めるというのはもはや常識となりつつあります。

そんな中、米軍が最近採用したのはGATRアンテナシステムという地上での利用向けに設計されたアンテナです。最大の特徴は空気を使って膨らますことで最大2.4mのパラボラアンテナを簡単に設置できるという点です。これは一般的に「膨張式衛星アンテナ」(ISA)と呼ばれているものだそうです。

GATRアンテナシステムは1.2m、1.8m、2.4mの3タイプがあり、最も大きいアンテナでも設置にかかる時間は慣れた人で30分程度。アンテナ自体は2つのケースに収まり重量は45kgとのことです。



膨張式衛星アンテナは外からは見えませんが内部に円形の膜がありそれをパラボラアンテナのように歪ませることで通信を行うことができます。

従来型のアンテナと比べ運搬時の体積と重量が8割削減されており、また装置自体も従来の自走式衛星通信システムよりも安価だといいます。米国防総省はアンテナを製造したGATR Technologies社と5年契約を結び今後導入を進めるとのことです。

参考:WIRED.jp