ナイロン製人工筋肉

ポリエチレンやナイロンといった素材で作られた糸がありますよね。この糸について単純にひねりコイル状にしただけで人工筋肉というハイテク素材に生まれ変わるという新発見が報告されています。

 ポリエチレンの釣り糸やナイロンのカーペット素材が、衣料品や工業用途に利用できる最新のハイテク素材として注目を集める日も近そうだ。ポイントは“ひねり”を加えたこと。複雑な工程を経る必要も、特殊な素材を用いる必要もない。単に繊維をねじってコイル状にしただけだという。

 テキサス大学ダラス校の研究者らによるチームの開発したこの方法を用いれば、身近なポリエチレンやナイロ ンの糸で、1トン近いおもりを持ち上げられるようになるという。また、モーターを回転させるのに使えば、同 じ重量で比較した場合にジェットエンジンと同等の馬力を発揮させられる。

NATIONAL GEOGRAPHIC
今回の研究は既に商品化されている安価な素材から作れ、ひねりを加えるという工程は非常に簡単にでき『高校生ならできる』と話しています。具体的には釣り糸などの強度の高い糸をねじり、コイル状になったら熱で固定して元に戻らないようにするだけ。その後は温度を変化させるだけで、コイル状の素材が収縮 したり膨張したりするようになるといいます。

その強度は、人間の髪の毛の10倍ほとど太さで7.3kg。この新繊維を100本ほと束ねると700kgほどを持ち上げることができるといいます。

研究者らは単に強度が高いというだけではなく、ブラインドに使用して気温に応じて自動開閉させたり、コートの繊維として使用し寒い日は布地の密度を高めて防寒効果を上げることにも応用できるとしています。研究者の最終目標は繊維として使用利用することで、気温や体温の変化に合わせて隙間を作ったり閉じたりを繰り返す新繊維だとしています。