海上風力発電

巨大な風車を回転させ電力を得る風力発電。米大学の研究チームは、海上の設置した多数の風力発電が台風をどのくらい弱める効果があるのかシミュレーションしたところ意外な結果がでたと発表しています。

昨年、フィリピンを直撃し壊滅的な被害を与えた台風は記憶に新しいですが、この台風は海上に設置された風力発電施設で威力が弱まるのかどうか。米、スタンフォード大学のマーク・ジェイコブソン氏は過去24年に渡り気象や気候、大気汚染などを予測を行っている専門家なのですが、最近風力発電の風車が地球の風の流れにどれだけ影響を当たるのか研究を進めていました。

ジェイコブソン氏はコンピューター上で、ニューオリンズ沖合に78,000基の大型風力発電を設置したと想定しシミュレーションを行いました。発生させた台風はアメリカ南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」と同じ規模のものなのですが、結果、風力発電により台風はその威力を著しく削がれることがわかったとしてます。



ジェイコブソン氏のシミュレーション結果によると、 台風の風速を最大92mph(148km/h)削ぎ、勢力全体では79%も弱める効果を持つことを発見しました。

現在海上などに設置されている風力発電所の風車は最大112mph(180km/h)に耐え得るよう設計されており、カレゴリー2~3の台風について耐えることができることを示しています。今回のシミュレーションが現実にも効果があるとすれば、風力発電の風車により台風に被害を低下させることができる有効な手段であると主張しています。


以上が今回ネイチャーに掲載された研究内容なのですが、逆にいうと海上風力発電所が存在することで風が弱まり周辺の気象や内陸の気候に影響を与えている可能性はないのでしょうか。また風が弱まれば陸に近い風車の発電効率が低下することにもつながるので、『予想外の発電量低下』についても今回の研究結果を参考にできるかもしれません。

ちなみに、風力発電所の風車が耐えることができる風速について、2013年3月京都府北部に設置され倒壊した風力発電所は216km/hの風に耐えることができるよう設計されていたそうです。

参考:ScienceNewsline