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荷物や兵隊、兵器を運ぶ輸送機。任務が単純が故にそう新しくする必要もないと感じますが、アメリカの大手軍需企業では高騰する燃料価格を背景に、低燃費でエコな輸送機の開発が行われているとのことです。

航空宇宙ビジネス短信 ターミナル1によると、アメリカの軍需企業ロッキード・マーティンは従来型の輸送機よりも実に7割も燃料消費の少ない次世代輸送機の開発を進めているといいます。これはる『ブレンデッドウィングボディ(BWB)』などとした輸送機で空力特性最適化した機体とエンジンから構成されます。

結果、C-5 ギャラクシーという軍用超大型長距離輸送機に匹敵する貨物の搭載能力と機内スペース、そしてC-17 グローブマスターIIIよりも70%少ない燃料消費量で輸送が可能になると主張しています。

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BWBの特徴は主翼胴体一体化し全翼機のような構造にする一方で、機体後部は従来型と同様の構造にしたこと。これは従来と同じように機体後部から荷物の積み下ろしを可能にし、空中投下も全翼機では難しいという投下後の重量バランス調整を容易に行えるようになっています。
高い燃費を実現できた理由としては特に空力特性が非常に優れており、C-17より65%、C-5より30%、ボーイング787より5%優れているとしています。

このように輸送機の燃費を徹底的に切り詰めることについて、実は米空軍で消費される燃料は輸送機や空中給油機部隊が3分の2を占めていることだと言います。世界では一般の貨物についても軍用の輸送機を改造したものが使用されているので、今世紀前半には輸送機の形が大きく変わっていくことが予想されます。

また、こちらの輸送機については垂直離着陸機F-35Bのようにエンジンノズルを下方向にむけ短距離離陸を可能にするという案もでているとのことです。


ちなみに、アメリカでは次世代輸送機としてステルス輸送機なるものが2020年ごろに登場すると言われています。

▼ロッキード・マーティン案のステルス輸送機「Speed Agile」。NASAの風洞施設にて
ステルス輸送機
 
参考: 航空宇宙ビジネス短信 ターミナル1