宇宙エレベーター_1

これまで宇宙エレベーター(軌道エレベーター)というのは、地上と宇宙を繋ぐエレベーターというものでしたが、そうではなく宇宙空間に宇宙エレベーターを作り低軌道から静止軌道まで衛星を運ぶという案もあるそうです。 

 軌道に使われるケーブルを地上と結ばず、両端を宇宙空間に置くことで、高周回軌道へ物体を送り込むコスト を40%カットできるという、新たな研究成果が発表された。

 SF界の巨匠、アーサー・C・クラークが1979年に刊行した小説『楽園の泉』に触発され、複数の科学者が、かなり以前から完全版の宇宙エレベーターの構想について研究を続けている。これは地球の赤道上に位置する地点 から宇宙空間に向けて、月との距離の4分の1ほどの長い軌道を設置するというものだ。これに対し、今回提言さ れた部分的な宇宙エレベーターは、長さは完全版の半分以下で、地上と直接結ばれている必要もない。

NATIONAL GEOGRAPHIC
『宇宙空間宇宙エレベーター』などと呼べばいいのかは分かりませんが、今回の案というのは冒頭でも書いたように宇宙空間に宇宙エレベーターを作ってはどうかというものです。カナダの科学者チームによると、この手の宇宙エレベーターであればこれまで言われていた地上と繋がっている宇宙エレベーターほど強度の強いケーブルは必要なく、規模も大幅に縮小できるので「荒唐無稽な話しでもない」と述べているといいます。

宇宙エレベーターが発案された理由については静止軌道という高高度(約3万5786キロ)に物資を打ち上げるコストにあるとし、一般的に静止軌道までモノを送る費用は1kgあたり約2万5000ドル(約250万円)かかるとしています。これはISSがあるような低軌道の1kgあたり0.5万~1万ドル(約50万~100万円)に比べると遥かに高くなっています。

具体的にどのような構成になるのかは、大まかには物資を積み込む所と降ろす所、その両端を繋ぐテザー(ケーブル)とエレベーター本体(昇降機)からなるとし、基部は地上から160kmから2000kmの宇宙空間に設置されるとしています。

何れにしても地上と繋ぐ宇宙エレベーターを建設しようとすると宇宙の宇宙エレベーターを作るような技術は必要不可欠です。もしかしたら宇宙の宇宙エレベーターにより、地上とを繋ぐ本格的なエレベーターが作られるということになるのかもしれません。


ちなみに、一般的に言われている地上と繋ぐ宇宙エレベーターの全長は静止軌道の距離よりも遥かに長い5万~10万km前後の長さになると言われています。

▼地球から伸びた約10万kmの線
宇宙エレベーター