火星有人飛行

人間は必ず何かしらの病気になりますが、もし医師もいない宇宙空間や他の惑星で手術が必要な重病を患ったどうなるのでしょうか。アメリカではそのような病気に使用される手術ロボットが開発されています。 

火星へ向かう途中で、宇宙飛行士が虫垂炎になったらどうする? 小型の「手術ロボット」が、おへそから入って治療してくれるかもしれない。

そんな未来を目指しているのが、ネブラスカ州に拠点を置くVirtual Incision社だ。同社が開発した外科手術法(PDFファイル)は、重量400gの小型ロボットを、腹部の切開部から体内へ入り込ませるというものだ。

WIRED.jp
想像もしたくもない医師がいない、病院がない状態での病気。今後そのような環境におかれることが予想されるのは宇宙飛行士です。現在、国際宇宙ステーションに乗り込む宇宙飛行士は乗員による治療及び緊急時には多少時間はかかるもののソユーズを使用した地球へ帰還が行われます。しかし、月や火星といった遠い惑星で急に病気になったらどうなるのでしょうか。

特に問題になるのは引用先にも書かれているような『手術が必要な病気』です。アメリカの民間企業Virtual Incision社はおヘソから入って患部を治療するという手術ロボットが開発されているそうです。

このロボットには2本の腕がありハサミや患部を焼く機器など病気に合わせたツールが装備されており、遠隔での手術操作が可能としています。

非常に面白い内容なのですが、遠隔での手術操作を行うというのは疑問があります。仮に地球から火星地表に患者に遠隔で治療を行うとすると、軌道の関係で前後するものの電波が到達するのに片道4分~20分。つまり地球にいる医師がロボットアームを動かすよう電波を送信してもその結果がモニターに表示されるのは往復8分~40分のタイムラグが発生します。
ISS軌道であればそこまで問題になることはないと思われますが、火星どころか月でもタイムラグが手術の障害になることは間違いありません。

もちろん国際宇宙ステーションに医師の資格をもった人が必ずいるといわれるように、惑星探査ミッションでは医師の資格をもつ宇宙飛行が搭乗することは当たり前の話になってくるのですが、それでも宇宙での『病気と手術』は怖い話です。

一方、ワシントン大学の研究チームはメスを使った手術ではなく、集束超音波を使用した腹部の非侵襲的手術を行う技術開発を進めているそうです。