ペスト

ペストこと黒死病は14世紀のヨーロッパで大流行し、ヨーロッパでは人口の3割が死亡するという大変な事態になりました。しかし、この黒死病の流行から人間の健康状態にある影響を与えていたことが最近分かったとのことです。

新しい研究成果により、中世に大流行し大量死を招いた黒死病の生存者は、黒死病の大流行が起きた1347年以前の人々よりも長生きし、また健康状態も改善していたことが判った。

Yersinia pestis(ペスト菌)によって引き起こされた黒死病は当時の全ヨーロッパの人口の30%を死に追いやった。また、黒死病流行の前期となる1347~1351年の間だけでロンドンの人口のほぼ半数が死亡した。

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この研究を行ったのは米サウスカロライナ大学です。研究者は10年近い歳月をかけ当時生存していた男女、そして子供にいたるまで1000人の遺骨を分析しました。その結果、興味深いことが幾つか分かったとしています。

  1. 14世紀の黒死病は感染者をランダムに人を死に追いやったのではなく健康状態が悪い人が主に死んでいった。
  2. 黒死病を患ったものの生き残った人は、流行以前よりも長生きした。大半は70~80歳まで生きた。
  3. 大流行後、死亡率・死亡パターンに変化が生じた。これは何世紀にもわたって継続した。
研究者によると、どうやら当時の人も衛生状態の悪さが黒死病を流行させたということが分かっていたらしく、再びペストが発生しないよう衛生環境の改善を行ったとのことです。結果、不健康が発生させる病気や死因に変化し、世紀にも渡り人類の健康状態の改善が行われ続けたとのことです。

ペスト

ノミがペスト菌に感染したネズミの血を吸い、次いで人が血を吸われた結果、その刺し口から菌が侵入したり、感染者の血痰などに含まれる菌を吸い込んだりする事で感染する病気。ペスト菌が体内に入って2~5日で全身の倦怠感に始まって寒気がし高熱が発生します。

その後、感染方法により腺ペスト(発症1週間の死亡率50~70%)、ペスト敗血症肺ペスト(発症から3日前後の死亡率はほぼ100%)、皮膚ペストを発症します。黒死病と呼ばれるのはペスト敗血症を発症した場合、全身が敗血症になり黒いアザだらけになることから付けられたとされています。

現在ペスト菌は抗生物質による治療が行なわれるるものの、それでも医療機関に隔離され適切に治療が行なわれた場合でも死亡率は20%前後と高いものになっています。