プロトンM

先日、カザフスタンから打ち上げられたロシア製ロケット「プロトンM」の3段目に不具合が生じ地上に落下したとされている件について、その一部が中国に落下した可能性があるとのことです。

今月16日、ロシア最大の通信衛星「エクスプレスAM4R」を載せたプロトンMロケットは、打ち上げから約9分後、2段目と3段目の切り離しに失敗、広い範囲に落下したと報じられています。情報筋によると、ロシアのアルタイ地方あるいは太平洋に落下したとしていたものの情報の正確性は不明ながら中国東北部、太平洋側に近い黒竜江省に落下したと報じられているとのことです。

搭載していた通信衛星はロシア衛星通信社が運用を予定したもので、エクスプレースAM4の代替機になるものです。『代替機』というように実は、前回プロトンMで打ち上げられたエクスプレースAM4も打ち上げ途中で不具合が発生し軌道投入に失敗。その後大気圏内に再突入する軌道をとることとなり廃棄されました。
つまり、同じ会社の打ち上げを2度失敗するという致命的な失敗になったということになります。

プロトンMロケット



プロトンM(Протон-М)はロシア製ロケットで元は水爆を打ち上げる大陸間弾道ミサイルとして設計されたUR-500が原型となっています。現在は核兵器を運搬する任務に使用されておらず、宇宙ステーション『ミール』や国際宇宙ステーションの打ち上げ、各種探査機、通信衛星の打ち上げに使用されています。

プロトンシリーズでも最新型がMシリーズで、ロケットの能力としては静止軌道へ3~3.2トン、静止トランスファー軌道へ5.5トン、低軌道には最大22トンの打ち上げ能力があります。



プロトンMは2001年4月から80回前後の打ち上げ実施され、そのうち失敗したのは今回の墜落事故を含め9回。この5回はいずれも現在から3年以内に立て続けに発生しています。上の動画で紹介しているプロトンMの打ち上げ失敗は複数ある「角速度センサー」の一部が上下逆さまに取り付けられたという単純なミスでした。