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ロケット1基あたり50億円、100億円という現代。一方で1/10~1/100という非常に低コストで打ち上げ可能な時代がやってく可能性があります。今回は現在構想されている低コストのロケットについて幾つか紹介していきます。

現在使われているロケットが高コストの理由は高性能のエンジンやボディを、まるで使い捨てカイロのように廃棄しているためです。ロケットを開発する上で回収し再利用するという案が必ずしもでるのですが、実現したというケースは極めて稀です。

しかし、商業打ち上げが数多く行なわれるようになった現在、低コスト化は必要不可欠。アメリカでは民間宇宙開発企業を中心に低コストで衛星を打ち上げることが出来るシステム、ロケットが開発されていますがテスト段階で実現には至っていません。


最近、米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は『XS-1』というスペースプレーンの開発を発表しました。この機体は低軌道に1.3トン~2.2トンの衛星を僅か5億円未満で打ち上げ可能な新型のスペースプレーンで、ボーイング、ノースロップ・グラマン、マステン・スペース・システムズ社、及びそれぞれにつき1社を共同開発グループとして選定しました。
XS-1に求められる性能としては10日に10回の衛星打ち上げを可能とすることを条件としており、実現すれば低コストの宇宙開発という180度異なる新たな時代に入ることが予想されます。

▼XS-1(ボーイング案)
XS-1(ボーイング案)

ロケットだろうとスペースプレーンだろうと低コストで打ち上げを行うにはエンジンを含めた本体の回収は必ず行なわなければなりません。
一方、ロシア連邦宇宙局ロスコスモスはアンガラロケットという新型ロケットを開発し打ち上げに成功しました。アンガラロケットは発射時に使用する第一段目ユニバーサル・ロケット・モジュール(URM)という回収可能なバイカルブースターに置き換える案もあるとされ、実現すれば大幅なコスト削減が可能とされています。

▼アンガラロケット
アンガラロケット
▼バイカルブースターの模型(コンセプト)
バイカルブースター

バイカルブースターはロケット本体に翼と着陸装置、そして先端に戦闘機のジェットエンジンを搭載しており、垂直に打ち上げられ上空で切り離された後、翼を展開し自動的に滑走路に着陸するというものです。

またアメリカの民間宇宙開発企業、スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズことスペースXは従来のロケットながら打ち上げ後、地上に垂直着陸するロケットの開発を進めており最近打ち上げられたファルコンロケットでは海上で垂直着水、着陸試験も行なわれています。

▼スペースX社の再使用型ファルコン9
再使用型ファルコン9

 ロケット本体を回収する技術はこのように幾つか案があり、今世紀前半にはほぼ間違いなく再使用型のロケットにより低軌道の衛星打ち上げが行われることが予想されます。ただ、これまで構想されては消える再使用可能なロケットについては技術や資金面そして安全性、整備コストや信頼性なども相当なハードルが待ち構えています。