ホット・ジュピター

イギリスの大学はハッブル宇宙望遠鏡を使用した太陽系外惑星の水の観測について、予想したよりも1/10~1/1000程度の量しかなかったと研究内容を発表しています。

ケンブリッジ大学の附属、ケンブリッジ天文台の研究チームによると、水蒸気を検出するための理想的な候補として3つの太陽系外惑星を観測したところ「ほぼ乾燥に近い状態だった」などとする研究結果を発表しています。

系外惑星の大気、水は予想以上に低濃度 ハッブル望遠鏡観測で判明 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

研究チームが今回観測したのは地球から60光年から900光年離れた3つの惑星で気温は900度~2200度と高温。一方で水蒸気を検出できるという理由から“大量の水”を期待し観測が進めれられました。しかし、大量の水は確認できず、それどころかほぼ乾燥状態に近いことがわかり「極めて驚くべきことだ」などと研究者は述べています。

研究チームによると想定していた水は標準的惑星形成理論から導き出されたものの、実際の測定値は1/10~1/1000程度の量とされており、「地球外生命の探査において、地球型の太陽系外惑星で水を検出するのがいかに困難な取り組みになる可能性があるかを、今回の結果は示している」と話しています。

以下は観測された3つの天体

WASP-12b
WASP-12b

南アフリカ天文台が2008年4月1日に発見した公表した巨大ガス惑星(ホット・ジュピター)。WASP-12bと恒星の距離は0.02AU程度しか離れておらず、公転周期は僅か1日程度。表面は2226度前後まで加熱されています。WASP-12bのガスは恒星に吸い取られており、約1000万年後に消滅すると考えられています。
WASP-12bと恒星の距離(0.02AU)について太陽と水星の距離を1mとすると僅か6cm程度になります。画像は想像図

HD 189733b
HD 189733b

地球から見てこぎつね座の方角、63光年離れた位置にあるHD 189733b。2005年10月5日にフランスの天文学者に発見された木星型惑星です。WASP-12bと同じように主星の近くを公転するホット・ジュピターで主星との距離は0.03AU。
2013年ハッブル宇宙望遠鏡による可視光の観測で真っ青な色をしていることが分かったものの、今回の研究から水蒸気はほとんど観測されませんでした。画像は想像図

HD 209458b
HD 209458b

ペガスス座HD 209458aを公転する惑星。別名はオシリス。質量は木星の0.7倍、半径は木星の1.4倍ほどで、恒星を3.5日で公転するホット・ジュピターです。恒星との距離は0.04AU前後。加熱されることで毎秒10,000トン程度の水素が宇宙に放出されていることから、彗星のような尾(長さは20万km程度)を引きながら公転していると考えられています。
2009年ハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡の観測により水、メタン、二酸化炭素があるという生命存在の基礎となる化学的特徴を発見していました。