フィリピンの台風

昨年11月、フィリピンを襲った巨大台風の被害について、被災地となった地元住民の約8割が高潮の意味を理解していなかったことが日本の研究機関の調査により明らかになりました。

1月8日にフィリピン諸島の中部を襲ったのは中心気圧895hpa、最大瞬間風速90メートルという史上まれに見る巨大台風です。この台風により台風が通過したエリアでは死者行方不明者は7300人以上、被災者は1600万人(フィリピンの人口は9,600万人)となりました。

特に沿岸部に甚大な被害を与えたのですが、これほどまで犠牲者が増えた原因について高潮(ストーム・サージ)という意味が理解していなかったためだとする研究内容を毎日新聞が報じています。

比台風災害:「ツナミ」と言ってくれれば…高潮意味知らず - 毎日新聞

この研究を行った東北大災害科学国際研究所、災害情報学の研究チームによると台風から5ヶ月が経過した2014年3月、被災地域の642人に聞き取り調査を行ったところストーム・サージの意味を知っている人は僅か13%で、自宅外に避難しなかった176人のうち65%が「波があんなに高いとは思わなかった」と回答したそうです。
一方、“津波”という言葉については80%近い人が正しく理解しており、「津波と言われれば絶対に避難した」と話しています。

フィリピンを襲った台風、被災前と後の比較写真
フィリピン被災地5

最近、避難勧告・避難指示が出される場合がありますが、日頃見る気象用語でも言葉と意味を勘違いしていることが多いと言われていますよね。避難するかしないかは最終的に個人の判断になるのですが、判断材料となる気象用語と意味が正しく理解されていなければ避難行動に出る人は少ないというのは今回の研究から明らかになりました。

ちなみにアメリカは女性名の名前のハリケーン(例えば『カトリーナ』)の場合に人的被害を多く出す傾向があることが分かっています。理由の一つとして男性名よりも女性名の方が弱く感じるためだとされています。