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優秀な頭脳・技術以外にも精神面のタフさを求められる宇宙飛行士。しかし、そんな宇宙飛行士であっても宇宙空間では睡眠をとることが困難になり、慢性的な不眠・睡眠不足に悩まされていることが明らかになりました。

今回明らかになったのは宇宙飛行士と睡眠不足についてです。元のなったデータは過去10年かけ集められたもので、実際の宇宙空間でとられたデータ4,200日分以外にも、4,000日分の地上での訓練を含む物となっています。解析の結果、宇宙飛行士の睡眠時間はNASAが設定している睡眠時間よりも2時間以上少ないことが明らかになりました。

宇宙飛行士も寝苦しい…75%強が宇宙で睡眠薬を服用 « WIRED.jp

▼スペースシャトルの睡眠区画
スペースシャトルの睡眠区画

NASAによる宇宙飛行士が取る睡眠時間は毎日8.5時間とされているそうです。しかし、実際の睡眠時間を長期間追跡したところ、スペースシャトルでの睡眠時間は6時間以内、国際宇宙ステーションで6時間強だったことがわかりました。また、この睡眠不足は飛行前に行なわれる前の3ヶ月にも及ぶ地上施設から続いており、ここでも平均6時間半を下回っていたことが明らかになりました。

国際宇宙ステーションの搭乗員について帰還まで1回以上の睡眠薬を使用したことがある宇宙飛行士は全体の3/4で、78%が宇宙滞在日数の半分以上の夜に睡眠薬を服用していたとのことです。

▼ISS内(ミッドデッキ)で眠る宇宙飛行士。通常は電話ボックスサイズの個室で眠るものの、乗員が増えた場合や個人の好みに応じて就寝場所が変わるとのことです。
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このように寝不足からくる不注意で事故等が発生してもおかしくない状態が続いている一方、不眠が長らく放置されているのか。また、何が原因で不眠に陥っているのかその理由については書かれていません。今後広いとは言えない環境で長期間宇宙船に滞在することが予想される環境で睡眠がどのように変化してくるのか、ミッションの成功や宇宙飛行士の安全面でも対策を講じる必要があるでしょう。
(JAXAのウェブサイトでは宇宙飛行士は約8時間の睡眠時間が取られているものの、作業が長引いたり窓の外の景色をながめていたりして、実際の睡眠時間は約6時間くらいが多いとしています。参考)

ちなみに、同じような環境として潜水艦の搭乗員について調べてみたところ、やはり不眠があるらしく艦内にはプールやサウナ、観葉植物等が設置されている場合があるそうです。