FanWing_1

ドイツ航空宇宙センターからの研究資金を受け試験機の開発が進むこととなったのは短距離離陸が可能な新型貨物機です。機内には20フィートコンテナ1個を搭載できる性能があるとされ、実機の開発に進むこととなりました。

Patrick Peeblesという航空エンジニアが発明した新方式のSTOL機の新コンセプト「FanWing」が今、航空機業界で大きな注目を集めており、EUの資金供与で実機の開発計画が進められていることがAviation Weekの報道で明らかとなった。

FanWingは、翼の前部にロータリータービンと呼ばれている円柱状の回転ファンが取り付けた特殊な形状をしたものとなる。飛行を行う際は、エンジンの推力ではなくこの回転ファンを回転させることによって推力と同時に、翼の上下に強制的に気圧差を生み出すことによって従来型の翼よりも大きな浮力を生み出すというアイディアに基づくものとなる。

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非常なユニークな作りになっている今回のFanWingは、なんとエアコンについているような円柱状ファンを翼に搭載し、翼の上に風を排出することで揚力を得るという航空機になっています。

開発したPatrick Peeblesによると、現在はFanWingと同じ仕組で飛行するラジコンの飛行に成功しており、実機では20フィートの長さを持つISO規格の貨物コンテナを積載できる貨物機になる予定です。
引用先にも書かれているように、この構造により短距離陸が可能で例えば一般の道路や整備されていない滑走路であっても離着陸は可能だとしています。



ドイツ航空宇宙センターは783,000ユーロ(約1億円)の研究資金をPatrick Peeblesに提供しており、研究次第で実機を製造する予算を提供するか否か判断することになるとしています。

ただ、通常の飛行機に比べ巨大なファンが翼に付いており空気抵抗が増しており、高速で飛行することは難しそうです。その点で競合しそうなのは最近注目されている飛行船による輸送です。今回の貨物機は僅か1つのコンテナを輸送するために滑走路が必要なことや構造の複雑さ、またメンテナンス等を考えると新しい輸送手段として飛行船と比べると導入は困難になると思われます。

一方で、ロータリータービン機は無人偵察機といった無人機分野で応用が検討されているとのことです。