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ロシアの制裁処置によりアメリカのアトラスVロケットのメインエンジンが輸入できなくなる恐れがあることについて、アライアント・テックシステムズ(ATK)は、これの代替品として数ヶ月以内に新型固体ロケットを設計・製造できると発言していることが明らかになりました。

米国のATK社は9月23日、輸入できなくなる恐れが出ているロシア製のRD-180ロケットエンジンの代替案として、自社の新しい固体燃料ロケットモーターを、米空軍に対して提案すると発表した。

 現在、米国の軍事衛星や偵察衛星を多く打ち上げているアトラスVロケットは、第1段にロシア製のRD-180ロケット・エンジンを使っているが、昨今の米露関係の悪化により、ロシアからエンジンを輸入できなくなる可能性が持ち上がっている。

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アメリカが軍事衛星の打ち上げにも使用しているアトラスVロケットがあるのですが、ロケットのメインエンジンがロシアから輸入されており、軍事衛星の打ち上げに限りこの輸出を停止するというロシアの対抗処置が現在取られているとされています。

これについて航空宇宙、防衛、および商用製品を製造しているアライアント・テックシステムズは代替案としてRD-180のように液体ロケットエンジンではなく、新しい固体ロケットエンジンを開発し、軍事衛星を運用している米空軍に提案すると発表しているそうです。

アレスI(開発中止)の固体ロケットエンジン燃焼試験


アライアント・テックシステムズによると、自社開発の新型固体ロケットエンジンは「設計から飛行資格の取得まで数ヶ月以内に完了できる」と主張しており、また液体ロケットよりも低コストで開発・運用することができると話しています。

sorae.jpによると、アライアント・テックシステムズはこれまでスペースシャトルの打ち上げで使用する2基の固体ロケットブースターなどを開発製造しており、スペースシャトルの引退で仕事が激減していたといいます。

ロケットを打ち上げるエンジンについては主に固体ロケットと液体ロケットの2つがあり、固体ロケットは低価格ながら大推力を生み出すことができます。しかし、出力の調整等の制御が困難で振動が激しいことから有人打ち上げをはじめ衛星の打ち上げについても固体ロケットだけでの打ち上げは不利になることが多いとされています。今回アライアント・テックシステムズはこの不利な点について、「これを解決できる新技術を開発した」と主張しています。