ペースシップツー、ホワイトナイトツー

ヴァージン・ギャラクティックの宇宙船スペースシップ2が10月31日、カリフォルニア州で行われた動力試験中に墜落し副操縦士1名が死亡したと発表されています。

英ヴァージン・グループ傘下のヴァージン・ギャラクティックの発表によると、カリフォルニア州モハーベ飛行場から飛び立った母機ホワイトナイトツー及びスペースシップツーについて、スペースシップツーの動力飛行試験の際に事故が発生し同機が墜落、機体を失ったと発表しています。また、一部報道によるとパイロット2名が死傷したと報じられています。

ペースシップツー_1

ペースシップツー_2
CREDIT: REUTERS/KNBC-TV

ヴァージン・ギャラクティックによるとスペースシップツーのパワーフライトを行った際に重篤な操縦不能(アノマリー)状態に陥り墜落したとしており、母機ホワイトナイトツーは正常に帰還したと発表しています。

今回の試験飛行は2014年1月に行われたエンジン、シエラ・ネヴァダ・コーポレーション製RocketMotorTwo (RM2)とは異なる自社開発したポリイミドベースの推進剤(液体と固体エンジンを融合させたもの)を燃焼させるハイブリッドエンジンを搭載していました。

RocketMotorTwoの燃焼試験
RocketMotorTwoの燃焼試験

交換した理由として14年1月の試験飛行にてRocketMotorTwoエンジンが予想していた出力に達していなかったことがわかり、また燃焼自体も不安定だったことが挙げられています。一方で同時開発していたというヴァージン・ギャラクティック製エンジンについて地上での燃焼試験では良好な結果が得られ搭載されたという経緯のようです。

▼2014年1月の試験飛行



ヴァージン・ギャラクティックはこれまで機体の開発そして宇宙港となるスペースポートアメリカの建設など莫大な建設費用を投じており、“後戻りができない”状態に陥っていたとされています。スペースシップツー2号機については今回の動力試験結果で新たに設計し直すとも述べていたのですが、失敗したことでこの計画もほぼゼロ地点に戻ったということになります。

同社の事業は世界初の民間宇宙旅行として注目されており、宇宙旅行予約者700人あまりから1人あたり20万ドル(約2,000万円)を集めていました。しかし、予想外の開発の遅れで事故前の時点でも資金不足に陥ることが指摘されており今回の事故が及ぼす影響も考えると、事実上ヴァージン・ギャラクティック宇宙旅行は計画中止を含め、極めて厳しい局面を迎えると予想されます。