HULC

防衛省は来年度からパワードスーツという装着者の身体をサポートする装置の開発を進めることが明らかになりました。予算は9億円で防塵防水、銃弾を受けても機能する装置を目指すとしています。写真はロッキード・マーティン製のパワードスーツ

防衛省は、2015年度から装着者の動きをアシストする「高機動パワードスーツ」の開発に乗り出す。自衛隊員の装備は銃などを含め最低でも20キログラム以上。パワードスーツにより装備状態の隊員の負担を軽減、迅速機敏な行動に役立てる考えだ。15年度当初予算概算要求には関連予算として9億円を計上している。

日刊工業新聞
身体能力を向上させようと日々厳しい訓練が行われている兵士。しかし人間である以上、生まれつきの差や身体的な限界というものが存在します。そこで各国軍事機関はトレーニングでは得られない力を与えようというのがこのパワードスーツです。

日本の防衛省は来年度、9億円の予算を計上し開発しようとしているのは「高機動パワードスーツ」というものです。実はこのような兵士の身体能力をサポートする装置は各国で開発されているのですが、その理由も同じで20~30kgにもなるという兵士の重い装備が原因です。


さて、一般的にパワードスーツは人間の関節に合せて作られた金属とモーターからなる装置なのですが、パワードスーツの開発について一歩先を行っているアメリカでは金属製ではない衣服型が今後採用されるのではないかと言われています。



見た目は特に何も付けていないように見えるのですが、シートベルトのようなワイヤー入の繊維を下半身に巻きつけ、このワイヤーを自転車のブレーキをかけるように機械が調整することで歩行を補助するという物になっています。これは空気圧やモーターで作動する金属製のパワードスーツに比べ軽く、柔軟性があり過酷な環境下でも壊れにくいという特徴があります。

またアメリカでは軍事目的以外、つまり消防士や介護という場面で使用されるパワードスーツも開発されているのですが、同じく繊維とワイヤーを使用したものになっているそうです。



見出しの写真のように米軍ではこれまでロボットのようなパワードスーツが試作され公開されたことがあったものの、実際に使用されたという報告は耳にしません。一方で最新の外骨格スーツは柔軟な素材から作られる傾向があるようで、これまで開発されたSF映画に出てきそうなロボット型のパワードスーツは既に過去のモノということになりそうです。