Richard Branson

民間企業ヴァージンギャラクティックが進める宇宙旅行事業について、現在に至るまで経営者と開発現場との対立があったことが明らかになりました。
 

Virgin Glacticの有人宇宙船「SpaceShip Two」が試験飛行中に墜落をした問題に関連して、経営トップのRichard Bransonが早期の事業開始を現場のスタッフに対してゴリ押ししていたことがThe Wall Street Journalの報道により明らかとなった。

BusinessNewsline
ヴァージン・グループの創設者で会長のリチャード・ブランソン氏について米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、ヴァージンギャラクティックが進める事業を一日も早く開始したいと求めており、開発責任者と深刻な対立があったと報じているそうです。

ヴァージンギャラクティックは当初2013年にも宇宙観光事業を始めると予定していたものの、墜落以前の段階で2015年に延期されています。これは宇宙船エンジンに問題があったという単純なものなのですが、それを知っていながら開発責任者に2015年中の事業開始を強く求めていたといいます。

墜落した宇宙旅客船の残骸を調べる当局者=AP
▲墜落した宇宙旅客船の残骸を調べる当局者=AP

記事によると、2014年1月に行われた墜落機の動力飛行で判明したこととして搭載していたハイブリッドエンジンが予想していた出力に達しておらず、コクピットの計器が見えないほどの激しい振動が発生するなど劣悪なものだったといいます。その後墜落した機体には自社開発したエンジンに載せ替えが行われたのですが、この判断は開発責任者ではなくブランソン氏が無理やり決定を行ったといいます。

ブランソン氏が早期の事業開始を望む理由は資金です。ヴァージンギャラクティック社は予想外の延期に見まわれ資金難が噂されており、大手投資ファンドから調達した約3億ドルという資金は既に使い果たしていると入れているそうです。また宇宙旅行の予約者から集めているお金についても当初の20万ドルから25万ドルに値上げしています。

2014年10月31日に墜落した事故の原因は経営者のゴリ押しが原因ではく副操縦士の操縦ミスと判断されているのですが機体とエンジン、そしてパイロットを失ったことで、今後宇宙旅行を実現させるにはさらに数億ドルの資金が必要とされているそうです。