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注目を集めているゲーム関連のハードウェアとして3Dヘッドマウントディスプレイがあるのですが、視界のすべてが遮られることで3D酔を起こすことが懸念されています。この問題について画面上に仮想の「鼻」を置くことで予防できる研究があるそうです。

3D酔とは液晶モニタやディスプレイなどに表示された画面を見入ることで平衡感覚を失い乗り物酔いに似た症状が出ることです。主に車や飛行機、一人称視点のゲームで発生するものなのですが、これよりも乗り物酔になってしまうことが心配されるのは3Dヘッドマウントディスプレイです。

「仮想の鼻」を置くと3D酔いしなくなることが判明 - GIGAZINE

主にゲーム用に開発されている3Dヘッドマウントディスプレイは視界のそのほとんどが映像として見ることができこれまでにない没入感が得られる一方、視界が完全に遮られることでこれまで3D酔を起こしたことがない人に関しても症状が出てしまうことが考えられます。

この問題についてパデュー大学のデービット・ウィッティングヒル准教授らは画面上に人間の鼻にあたるものを仮想表示することで酔を遅らせたり緩和する効果があることを発見しました。

▼左目と右目に映しだされる仮想の鼻(中央)
仮想の鼻

研究チームは2015年3月に開催されたゲーム関連の見本市で一般人41人にヘッドマウントディスプレイを装着してもらい、ランダムで仮想の鼻の映像が入ったもののそうでないものを見てもらいました。結果、気持ち悪くなる時間について仮想の鼻がなかった場合は平均94.2秒で仮想の鼻を写した場合はこれよりも2.2秒ほど長くなったようです。
微妙な差なのですが、被験者が視聴した映像とはジェットコースターに乗った視点で激しく動きまわるものらしく、他の映像であれば更に差は広がる可能性はあります。

研究者によると3D酔いを防止するには画面内に固定されたもの例えば、コクピット等を表示すると同様の効果があるとしており、今回の研究では不自然ではない仮想の鼻を表示することにしたそうです。

▼ヘッドマウントディスプレイ着用時における人間の反応


以前酔いを防止するための「boarding ring」という液体が入ったメガネを紹介しましたが、このようなものをデジタル表示することで一定の効果は得られるのではないかと思われます。いずれにしても3D酔いも慣れればそこまで激し症状は出ないと思われるのですが、今後本格的にヘッドマウントディスプレイが普及した時には3D酔いの問題は必ず指摘されることになると思います。