ISS

ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)によると、2015年5月16日に予定されていたロシアのプログレス補給船を使用した国際宇宙ステーションの軌道修正について何らかの問題が発生しエンジン燃焼及び実施中止されたと発表しています。

 ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)は5月16日、この日実施予定だった、プログレスM-26M補給船のスラスター(ロケット・エンジン)を使った国際宇宙ステーション(ISS)の軌道修正に失敗したと発表した。
 人工衛星は大気との抵抗で徐々に高度を下げており、特に巨大な建造物であるISSはよりその影響が大きくなるため、定期的にISSの後部にドッキングしている補給船のスラスターを噴射して、軌道を持ち上げる必要がある。これを「リブースト」(Reboost)と呼ぶ。

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国際宇宙ステーション(ISS)は地球の大気の影響により僅かなから速度が低下、地球へ落下し続けています。これを押し上げるため物資を届ける補給船に搭載されたスラスターを使いISSをリブースト、加速させ高度を維持しているのですが、今回その加速に失敗したと発表しています。

国際宇宙ステーションのリブーストを行えるのは現在ロシアのプログレスM-27M補給船もしくは、ISSのロシアモジュールの一つ「ズヴィズダー」の後方に2つのスラスターがあります。しかし、ズヴィズダーモジュールは打ち上げから15年あまり、スラスター自体もここ数年は使用されたことがないらしく、こちらの使用は最終手段ということになりそうです。

▼リブースト中の国際宇宙ステーション内部


今回はソユーズ宇宙船を使った宇宙飛行士の帰還に向けた加速であったということで、これが行えるかどうかまた見通しは経っていないとのことです。
また「数日以内に軌道修正を行わなければならない」という緊急性の高い話ではなく少なくともISS自体は今後数年リブーストできなくても地球に落下することはありません。ただしISSと同じ高度400km前後にある宇宙ゴミの衝突など緊急性を要する軌道変更等が行えず、今後の運用に何らかの問題が発生する可能性もあるとのことです。

▼ISS高度の推移グラフ
ISS高度の推移グラフ
ISSは毎月約2.5 kmずつ高度を下げています。またISSの組み立て段階では、スペースシャトルができるだけ多くの荷物をISSへ運べるように意図的に高度を低く抑えていたものの、シャトル退役後は高度400km以上で運用されるようになったとのことです。(参考:Wikipedia)