病室

毒蛇に噛まれたらどのように対処するでしょうか。毒が全身に回ることを心配して『動かない』、『背負ってもらい下山する』など対応をとる方も多いと思いますが、実はその判断は正しくはないそうです。

毒蛇のマムシにかまれたら、走ってでもいち早く医療機関を受診する方が軽症で済むことが、救命救急医らのグループによる全国調査で分かった。

 従来は「走ると毒が全身に回るので安静第一」とされてきたが、グループは「認識を改めてほしい」としている。

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これは救急救命医らが日本全国の救急病院に運ばれた“毒蛇に噛まれた患者”について調査した結果明らかになったもので、毒蛇に噛まれた場合は走ってでも早く病院に行くことが後々の入院期間も少なくなることが分かったそうです。

調査では178件の毒蛇に噛まれた患者が、噛まれた後どのように病院に運ばれたのか、その後の治療についても調べたもので、病院に行くまで走った人は21人いたのですが、要した時間は平均18分で入院期間は平均5.9日でした。一方、残りの157人は病院に行くまで1時間24分かかっており、入院期間は前者よりも1.4倍長い8.4日だったとのことです。また噛まれた部位の炎症も走った人の方が小さかったとのことです。

医師によると、蛇の毒は噛まれてから30分で部位の炎症がひどくなりその後毒が全身に回るとされており、救急車が直ぐに来れる場所であれば待ったほうがよいものの、山奥など人里はなれたところでは走ってでも下山したほうがよいと述べているそうです。

蛇の毒

蛇の毒は実は唾液が進化したもので、毒は全ての同じではなく『神経毒』『出血毒』の2つに分けられます。

神経毒は出血毒よりも激しい痛みを生じが生じないものの即効性があり致死性が高い特徴があります。噛まれると筋肉の麻痺や痙攣が発生し動くことが出来なくなる他、心臓や呼吸器も停止するという文字通り神経系にダメージを与えます。

出血毒は血や血管、筋肉に影響を与える毒で即効性は無いものの激しい痛みに襲われます。血液をゼリーのように固まらせる凝固作用や出血を止まらなくする作用、血管を破壊し内出血させる作用、筋肉を壊死させる作用などヘビにより多種に渡ります。神経毒に比べると致死率は低いものの場合によっては手足の切断や後遺症が残る例が報告されています。

▼出血毒で凝固する血液


日本に生息する毒蛇はマムシ、ハブ、ヤマカガシがいるのですが、それぞれの毒性(体重1kg当たりの半数致死量)の順位をつけるとヤマカガシが最も強くハブの10倍、マムシの3.4倍となっています。ヤマカガシは出血毒でマムシとハブは神経毒です。(参考:死ぬほど危険な生き物情報(navi)|有毒生物・危険生物の詳細案内)