ファルコン9

2015年6月、アメリカのスペースXが打ち上げたファルコン9ロケットが離陸後2分後に爆発した事故について液体酸素タンクにある支柱が破断したことが原因とする事故結果が報告されています。

SpaceXは20日、6月28日に起きたFalcon 9ロケット打ち上げ時の爆発の調査結果を公表し、ロケット爆発の原因はセカンドステージの液体燃料タンクのストラット(strut)の不良にあることを明らかにした。


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スペースXによると全開打ち上げたファルコン9が空中でガスを噴出した直後に大爆発を起こした事故についてロケット本体の第二弾目にある液体燃料タンクの構造を支えるストラット(支柱)が破断し、液体燃料タンクを破損させ大量に燃料が漏れだしたことで爆発に至ったと結論付けているそうです。



記事によると通常ストラットは10,000ポンド(約4,500kg)の荷重に耐える設計になっていたものの爆発を起こした同型と思われるストラットに荷重試験を行なった結果、本来の1/5およそ2,000ポンド(900kg)の負荷にしか耐えられなかったとしています。

このストラットは長さ61cm、厚さ2.54cmの棒状のものでこれまでの打ち上げでも同様に破断が起きていたと考えられるとしています。設計よりもはるかに低いパーツが使われていたのか原因は不明としている一方、ストラットの素材その物に原因があった可能性が指摘されているそうです。

補給船は爆発後も無事

またスペースXによると搭載されていた無人のドラゴン補給船について海に激突したことで機能を失われたとしており、爆発後も特に損傷することなくその機能を維持していたと説明しています(動画では3分24秒あたりにドラゴン補給船と思われる物体が脱落している様子が確認できます)。同社によるとドラゴン補給船は大気圏再突入後にパラシュートを展開するというプログラムになっており、爆発後もパラシュートを展開させることができずそのまま墜落したとのことです。

同社としては今後ソフトウェアを改良して同様の事例でもパラシュートを展開し補給船だけでも回収できるよう改良を加えると説明しています。

▼ドラゴン補給船
ドラゴン補給船

通常失われたペイロードについてどうなったのか説明が行われることはないのですが、スペースXが詳細を発表した理由として2017年以降に行われるNASAによるボーイング、もしくはスペースXの宇宙飛行士打ち上げを考えたものと思われます。

この2社の宇宙船には打ち上げ脱出システム(Launch Escape System: LES)という本体から切り離し宇宙船ごと脱出する装置が搭載されており、同様の事故が発生した場合安全に帰還できるようなシステムが設けられています。