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行きはよいよい帰りは怖い?NASAが計画している火星への有人探査計画について、現地で帰還用の燃料を作る必要があるなど極めて困難な問題が複数立ちはだかっていそうです。

 NASA(米航空宇宙局)のエンジニアにとって、火星は惑星サイズのハエトリグサだ。約束された科学的発見を餌に私たちを惹きつけ、そこに降り立った瞬間、過酷な気候と重力が宇宙飛行士をとらえて離さない。

 だが、それはあってはならないことだ。宇宙飛行士をもうひとつの星に置き去りにするためだけに、数十億ドルを投じることを世間は許さないだろう。NASAの火星探査計画において何よりも重要なパートは、間違いなく火星からの帰還である。

NATIONAL GEOGRAPHIC
これまで様々な困難なミッションを成功させてきたNASA。そのNASAでさえも頭を悩ませることになっているというのは火星から人間をいかにして地球に帰還させるのかについてです。

記事によると、最も困難とされている火星から火星軌道への宇宙飛行士の打ち上げについては火星でロケット燃料を精製しそれを使い再び火星軌道へ打ち上げるという方法がとられるとしています。なぜ燃料を地球から持っていくことはできないのかについては、実は火星の重力と大気圧にあるといいます。

火星は地球の1/100程度の大気圧しかなく、仮に必要な燃料を満載した宇宙船が火星大気圏に再突入したあと逆推進をかけ減速をかけた場合、飛行士ら全てを含む質量を着陸させるには推進剤だけで実に33トンの重量になるとしています。この案では地球から打ち上げることは出来ても火星への着陸は巨大な耐熱パネルを搭載しなければならずそもそも安全にできるのか未知数であるとして「実行は不可能」と判断されたようです。

NASAによると現地で燃料を作る装置及び打ち上げ用のロケットは18トンになるとしており、燃料はメタンと酸化剤の液体酸素が使われます。これは火星の大気や水から作ることは可能なものの、この装置を必ず水のあるところに着陸させる必要があることと、燃料を満タンにするまでに最大2年の年月が必要になります。
NASAによると、この装置を着陸させ燃料をつくり宇宙飛行士がロケットとして実際に使うまで4年ほど維持する必要があるとしており、地球とは異なる環境下で燃料を漏らすことなく維持することが難しいらしく現在『バルブ』の開発を優先的に行う必要があるとしています。

アメリカにおける火星への有人着陸は2030年代半ばを予定しているのですが、NASAは今後も重量とサイズそして確実に宇宙飛行士を地球に帰すため限られた予算内で行う必要があるというジレンマを1つずつ解決していかなくてはなりません。