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SpaceXによると先日複数の人工衛星打ち上げを行った際、打ち上げに使用した第一弾ロケットを発射場に再び返す試験を実施しこれに成功したと発表しています。人工衛星を軌道に載せロケットそのロケット本体を地上に再び戻すことができたのは人類史初の偉業となります。

アメリカの民間企業SpaceX(スペースX)は日本時間2015年12月22日午前10時に同社が運用しているファルコン9 v1.1ロケットの打ち上げを実施し搭載していた通信衛星「OG2」及び小型衛星11個の軌道へ送り込むことに成功しました。

実はこのロケットは大掛かりな試験が行われ打ち上げを行ったフロリダ州にあるケープカナベラル空軍基地(大規模なロケット発射場)に建設された着陸場に第一弾ロケットを着陸させるという試験を行いこれに初めて成功したと発表しています。

▼帰還に成功したファルコン9 v1.1



スペースXは2012年9月より再利用型ファルコン9ロケット(F9R)つまり現在のファルコン9 v1.1にあたるロケットの回収を行うため『グラスホッパー』やよりロケットに近い『F9R-Dev』試験機を用いて各種試験を行っていました。その後、実際に人工衛星を打ち上げ地上に返す試験として海上への垂直着水試験が合計3回、陸上への着陸を行う前段階として海上に設けられた大型の船に着艦させる試験を2回行ったもののこの2回の試験は全て失敗していました。

▼2015年4月に行われた2回目の着艦試験


スペースXはこのような再使用型ロケットを使用し打ち上げコストを最大で1/100にするという野心的な構想があります。価格として現在のファルコン9は1回あたりの打ち上げコストは業界でもかなり安い610万ドル(73億円)となっており、再使用が進めば国際宇宙ステーションが周回する軌道へ日本円でなんと7,000万円~1億円前後という超低価格で10トン程度貨物を送り届けることが可能になります。

ただ、実際のところどの程度再利用可能なのかは未知数となっており地上に帰還したロケット本体を分析し今後調べられることになります。

ちなみに今回打ち上げれたファルコン9 v1.1は従来型よりも能力向上型となる『ファルコン 9 v1.1 Full Thrust(ファルコン9 アップグレード)』で改良型エンジンが搭載されており低軌道への打ち上げ能力は13.150トンとなっています。