アンガラロケット

前回はアメリカを中心に次世代ロケットをいくか紹介しましたが、今回は世界で開発されているロケットについてです。こちらについても大幅にコストを抑えたロケットが計画また開発されています。

スカイロン (リアクション・エンジンズ イギリス)

イギリスでは旅客機のように飛び立ち宇宙に行き、再び滑走路に戻ってくるスペースプレーン「スカイロン」が開発されています。現在はエンジンの開発が進められている程度なのですが、仮に開発に成功した場合、機体自体は200回程度の再利用が可能と予想されており、従来の使い捨てロケットに比べ打ち上げコストは23分の1程度、1kgあたり8~9万円の価格で最大11トンあまりの質量を低軌道に投入できます。
このスペースプレーンについてはイギリスの軍需企業BAEシステムズが出資している他、国家や宇宙機関も出資しており開発が進められています。


アンガラ ロケット(ロシア)

ロシアが既に打ち上げているロケット「アンガラ」はコスモス、ツィクロン、ロコット、ゼニット、プロトンロケットをすべてアンガラシリーズに一本化し、国内で製造そして打ち上げを行うことを目的にしたロケットです。アンガラロケットはユニバーサル・ロケット・モジュール(URM)と呼ばれるシリーズ共通の第一段を使用しコストダウンを図る一方、本数を増減することで柔軟な打ち上げ能力を確保することができます。
さらなるコスト削減案として、URMを切り離し後ジェットエンジンで飛行しつつ滑走路に着陸するという再使用可能なバイカルブースターに変更する計画が練られているものの具体的な打ち上げコスト等は不明です。


アデリーン ロケット(エアバス)

2015年6月、航空大手エアバスが開発を発表したのは再利用可能型ロケット「Adeline(アデリーン)」です。アデリーンは補助ロケットと第一段ロケットを燃焼させ人工衛星を打ち上げるロケットなのですが、打ち上げ後第一段ロケットからメインエンジンを切り離し翼と動力で飛行しながら滑走路に着陸するという方法です。
エアバスによるとロケットの打ち上げコストを20~30%削減することができるとしており、2020年ごろの実用化を目指しています。



H-3ロケット (JAXA 日本)

2020年度の打ち上げを目指し開発が進められているのは基幹ロケットH-3です。H-3ロケットについてはこれまで挙げたような野心的な再使用型にはなっておらず従来型の使い捨てロケットとして開発している一方打ち上げコストを大幅に削減する案となっています。

具体的には現在1回あたりおよそ100億円かかるとされるH-2ロケットよりも最大で50%~80%減の打ち上げコストを目指すとしており総開発費として約1,900億円の予算が当てられています。

日本のロケットについては「高コスト」が指摘されているものの、例えばこれまで多くの商業打ち上げを行っている欧州宇宙機関(ESA)のアリアン5については開発費用の時点で9,000億円近い費用がかかったとされ、全体的に見るとH-2ロケットは安いとも言われることがあります。