火星

アメリカ航空宇宙局(NASA)は、火星探査車キュリオシティが最近撮影した360度の映像を公開しています。写真中央奥に見えているのは標高5,500mのシャープ山。

2012年8月6日、火星地表におりたったのは重量900kgという前代未聞の無人探査車マーズ・サイエンス・ラボラトリーことキュリオシティです。現在も火星地表面で様々な科学的な調査を行っているのですが、搭載したカメラを使用し360度映像を撮影しました。



こちらは画面内をドラッグすると視点変更することができるという映像で公開されています。

キュリオシティは火星のエリシウム平原にある『ゲール』と名付けられたクレーター内部のイエローナイフ湾に送り込まれました。こちらの映像では右奥、黒い砂丘ではなくその奥に山のようなものが見えるのですがこれはシャープ山と呼ばれる隕石の衝突により作られました。標高は富士山よりも高い5,500mです。ただこの標高についてはクレーター底からの高さでであり地表からの高さとしては1,500mほどです。

そしてこの黒っぽい砂丘。ナミブ砂丘と名付けられておりカメラの映像では詳細はわかりにくいのですがNASAによると高さは3.9mで斜度は26~28度。観測によると1年に1メートル移動していると考えられています。


さて、キュリオシティは写真を撮影して地球に届けるだけの仕事をしているわけではありません。火星の地表についても詳細なデータを送信し続けています。
まず火星の水について、古代の火星には水があったのではないかとされている件についてはNASAはこれを認める研究結果を報告しています。その一例としてキュリオシティは古代に造られた小川の痕跡を発見し、流され角が取れた小石も発見しています。

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NASAによるとこの流域は一時は人の足首から腰程度の深さの水があり、流れは秒速約1メートル。水流は数千年~数百万年も続いたと推測しています。

一方、NASAによるとキュリオシティに搭載された放射線評価検出器「レディエーション・アセスメント・ディテクター(RAD)」の観測データとして火星の空間線量は1日平均0.67mSvあることがわかっています。単純計算では年間換算で244mSvとなりNASAの研究者によると「このレベルの放射線に暴露すれば、表面または地下数メートル以内に生息する微生物は、数百万年以内に死に至ったに違いない」と話しています。(参考)