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中国貴州省で建設が進められている直径500mという世界最大の電波望遠鏡について、今年の稼働に向け施設から半径5km以内の住人に対し立ち退きとなると報じられています。

中国の新華社通信など国内外の複数メディアによると、中国南西部位置する貴州省黔南プイ族ミャオ族自治州平塘県に建設中の『500メートル球面電波望遠鏡(FAST、Five hundred meter Aperture Spherical Telescope)』が今年完成し試験稼働が実施されるのをうけ、施設より半径5km以内に暮らす住人に対し補償金を提示した上で立ち退きが行われると報じられています。

中国、直径500メートルの世界最大の電波望遠鏡を構築へ・サッカー場30枚分の広さ - BusinessNewsline

当局によると今年9月までに立ち退き実施するとしているのですが、補償金は日本円で20万円+住み替え支援としており住人らからは「少なすぎる」と不満を漏らしているとしています。

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なぜ立ち退きを行わないといけないのかというと、宇宙を向いている電波望遠鏡でも人間が生活するときに発生する電波をもキャッチしてしまい精確な測定が出来ないということが知られています。
過去にはオーストラリアで最も有名な電波望遠鏡が17年に渡り謎の電波をキャッチしていたもののその発生源が施設内の電子レンジだったという出来事が報告されたように微弱な電波でも望遠鏡に影響がでることがわかっています。(参考:電波望遠鏡が捉えた謎の信号、職員の飯が原因だった)


500メートル球面電波望遠鏡は自然の地形を利用して作られた文字通り直径500mの反射鏡をもつ電波望遠鏡で、なめらかな曲面の反射鏡は三角形のパネルを4,600枚組み合わせて作られます。実際の観測では全体の300メートルの範囲を使用しており、これにより固定式ながら天頂から40度の範囲を観測することが可能になりました。

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