LightningStrike

現在アメリカでは主に軍用ヘリコプターについて次世代垂直離着陸機の開発計画が勧められているのですが、この開発コンペに24基のプロペラを搭載した「LightningStrike」が有力候補となっているようです。

アメリカの国防高等研究計画局(DARPA)は「Vertical Takeoff and Landing Experimental Plane (VTOL X-Plane)」という次世代垂直離着陸機の開発コンペを行っておりこの第一次選考結果としてAurora Flight Sciences社の「LightningStrike」をフェーズ2の開発業者として選定したと報じられています。

DARPAの次世代VTOL機開発コンペ、Aurora社の「LightningStrike」をフェーズ2の開発業者に選定 - Technobahn

記事によると、この機体はロールスロイスとハネウェルという特に電子制御技術で有名な会社と共同開発し進められているもので前方の小型の翼に6基、主翼にあたる後部の大きい翼に18基、合計24基の電気モーターにより可動するプロペラが取り付けられているという非常に奇抜なデザインとなっています。
これは現在NASAでも研究されている分散型推進機関という技術を採用したもので大出力のエンジンを数基載せるのではなく小型の動力を複数載せたほうが実は効率が良いとする研究が報告され始めているためです。



さて、LightningStrikeの基本性能としてDARPAが求めているのは主に輸送用の垂直離着陸機で機体重量の40%超(10,000~12,000ポンド、約4,535~5,443kg)の重量物を運搬可能であることが求められています。合わせて巡航速度が300~400ノット(約555~740km/h)、クルーズ・リフト・ツー・ドラック率というよくわからない項目が10以上、そしてホバリング時のエネルギー効率が60%以上という項目をクリアする必要があります。

従来のヘリコプターやオスプレイのようなティルトローター機とは何が違うのかという点については、ヘリに比べ圧倒的に巡航速度が速く、高速機として知られるオスプレイよりも速いという飛行特性があります。ちなみにオスプレイの最高速度は300ノット(約555km/h)です。事実この飛行速度は固定翼機のC-130輸送機よりも高速でティルトローター機の次世代機という位置づけで間違いありません。

またこの手の航空機は高温の排気熱を排出することで滑走路を痛めることがあったのですが電動なのでそのような心配もほとんどなくヘリコプターを運用できる船舶の甲板でも運用可能なこと、そして低空飛行時に脅威となる熱を感知し飛来する赤外線誘導ミサイルからの防御率も比較的高まることが予想できます。 

DARPAとしてはフェーズ2で無人の実験機を製造させたうえで実際の飛行性能を確認するとしておりこの結果をもとにフェーズ3に移行するとしています。