image_72

東日本大震災後の福島県における小児甲状腺がんの発生率上昇について、科学誌サイエンスでは検診態勢が充実したことでこれまで見えてこなかった甲状腺がんも発見されたことで結果的に上昇しているようにみえているだけという論文が掲載されているそうです。

最近、公開されたいくつかの論文で、2011年3月に起きた福島第一電子力発電所事故の後、福島県での小児の甲状腺ガンの発生率が上昇しているという調査結果が示されたことに関して、こうした調査結果が生まれたのは、福島第一原発事故に影響したものではなく、まったく異なる要因によるものとも見方が生じている。

BusinessNewsline
『事故後の福島の小児の間にガンの発生率、謎の上昇』というタイトルで論文が掲載されたのは科学誌サイエンスです。具体的に何が書かれているのかというと、福島における原発事故はチェルノブイリで放出された放射能と比べ規模が1/10となっており、合わせてチェルノブイリと異なり小児甲状腺がんの原因となった牛乳をはじめ飲み物や食べ物が流通しないよう対策がとられました。
それにもかかわらず福島県で小児甲状腺がんが上昇していると報告があったことについて、実際は検査体制が敷かれたことで過去と比べ見えてこなかった小児甲状腺がんが見つかり、結果的に発生件数が増加したように見えているだけではないかというものです。

例として、韓国があげられているのですが世界一の甲状腺がん患者を抱えている韓国についても同様の検査態勢に理由があると主張しています。韓国では1999年から超音波を用いた検査を新たに導入しており、それまでは正確につかめていなかった甲状腺ガンが見つかったことで結果的に発生率が上昇しているように見えているとしています。韓国では世界平均の10倍、イギリスとの比較では17.5倍の甲状腺がん患者がいるとされています。

ただ、この論文に不備があるのは韓国の場合は実際に甲状腺にガンがあり手術されているわけではなく、医療機関が収入増加を見込んで超音波検査を過剰に行ない何らかの異変が見つかった場合でも病状が深刻ではない患者に対しても手術が必要だと医師が進めこれを行った可能性があるといわれています。
ちなみに韓国における甲状腺がんによる死亡率は全世界で84位になっています。