レッド・ドラゴン

アメリカの民間宇宙ベンチャー『スペースX』は過去に発表していた有人火星探査計画について、その第一歩として2018年に火星着陸及び探査を行う宇宙船を打ち上げる計画を正式に発表しました。

海外の複数メディアによるとアメリカ現地時間4月27日、スペースXのCEOイーロン・マスク氏は2018年に火星に向けて無人版ドラゴン宇宙船を火星に向けて打ち上げる計画を発表したと報じられています。マスク氏は今年2月に「2025年までに人類を火星に到達させたい」と話しており、有人飛行に向けた第一歩となります。


▲主に地球への着陸を想定し開発されているドラゴン2宇宙船

スペースXによると火星に向け打ち上げられるのは『レッド・ドラゴン』と呼ばれる宇宙船で、現在同社が運用している無人補給船ドラゴンや開発中の有人型ドラゴン2宇宙船の火星版という派生型になるとしています。

問題は6トンほどになると言われるレッド・ドラゴン宇宙船を火星に送り込む大出力のロケットが必要になるのですが、同社によると『ファルコンヘビー』という同じく今後人工衛星の打ち上げに計画されている超大型重量貨物打ち上げ機を使用すると発表しているそうです。ファルコンヘビーを使用した場合、火星軌道へ送り込むことができる質量は理論上13トン弱となります。


具体的な計画は

この計画はスペースXが独自に進めているわけではなく実際はアメリカ航空宇宙局(NASA)が進めているミッションと言われています。2011年の段階でNASAは火星探査計画として「レッド・ドラゴン」という計画を発表してしました。またスペースXのロケットや宇宙船を使用するという今回の発表に沿った内容となっており現在はNASAの正式計画として承認されていると言われています。

レッド・ドラゴン宇宙船は火星で何を探査するのかということについて、以前報じられたものでは火星に生命の存在する証拠となる化学物質を探すことが上げられています。合わせて1mほど採掘する装置も取り付けられ生命に必要不可欠な水(氷)を直接探すという計画も盛り込まれていると言われています。

NATIONAL GEOGRAPHICによるとレッド・ドラゴンにおけるNASAとスペースXの関係については「火星への大気圏突入、下降、着陸に関するデータをスペースXから提供してもらう代わりに、NASAからは同社の無人宇宙船ドラゴン2を火星に着陸させる計画への技術サポートを行う」としており、『技術』のやりとりを行い『お金』のやりは行わないというレアなケースとなっているそうです。

イーロン・マスク氏によると今年9月末にある宇宙国際会議で詳細を明らかにするとしており、続報はこの時期に入ってからということになります。