カラス

カラスとゴリラ、似ているのは黒い色くらいと思いきや最新の研究によると自己制御性という点においてカラスとゴリラはほぼ同等の知能であることがわかったと報じられています。

カラスやワタリガラスなどのカラス科の鳥は、霊長類と同じように社会的なグループを作ったり、道具を使用したり、パズルを解いたり、顔を認識したり、猫にイタズラをしかけたりといった知能を持ち、「羽の生えた類人猿」と呼ばれるほど賢い動物です。しかし、「動物の脳の大きさが動物の知能と関連していて、脳の大きい動物ほど知能が高い」という説が長らく信じられてきました。

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頭脳の大きさに比例して知能が高くなるということは私達一般人を含め研究者でもそのように言われていたのですが、必ずしもそうではないという研究が発表されています。スウェーデン研究評議会の資金提供を受けWilliam Roberts氏という動物研究者が行った調査によると、自己制御性という点に関して脳の大きさと知性の高さは必ずしも比例していないことがわかったそうです。

記事によるとこの研究はシリンダータスクという不透明の円筒に一箇所ドアを設け餌を円筒に入れる様子からドアをあけ餌を取り出すという一連の動作を見せた後どのように行動するのかというもので、一般的に動物の知能(自己制御性)を図る試験として多く取り入れられているといいます。

結果、カラス科の鳥は目の前の筒を単純に突いたり目の前の餌に執着するわけではなくどのようにしたら餌を取り出せるのか考えたうえでドアからアプローチするという行動をとることがわかり、脳の大きさに比べ高い知能があることがわかったとしています。

▼ワシの上に乗り移動する姿(ワシントン州で撮影:参考)
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どの程度の知能なのかという点に関してはこのシリンダータスクという評価によると、チンパンジーを100とした場合カラスも同じく100でオラウータンが99.1、コヨーテが95、ゴリラが92となったそうです。頭蓋骨内の体積はチンパンジーが368.4cm³に対しカラスは14.5cm³しかなく、ゴリラについては490.4cm³とのことです。

私達からするとカラスというとゴミを荒らしたりイタズラしたりとその対策グッズは多く販売されているのですが、これからはゴリラやチンパンジー並の知能があると接したほうがより効果的な対策が行えるかもしれませんね。

ちなみにカラスの生態に関する研究している宇都宮大農学部の杉田昭栄教授らによると、カラスは特定の色彩を1年以上記憶していることがわかり「色彩を1年間覚えているのは人間でもなかなか難しい。記憶の一側面では、人間より優れている可能性がある」と指摘しています。(参考)