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実に2億年以上も地球上を支配していた恐竜が突如として姿を消した6550万年前。白亜紀末の大量絶滅についてその原因は隕石の衝突説が有力視されているのですが、この隕石はどの程度の威力があったのでしょうか。

先月、メキシコ湾の掘削基地で活動している英国の研究者チームが、史上初めてチクシュルーブ・クレーターの「ピークリング」からコアサンプル(柱状採取した試料)を採取した。ピークリングとは、クレーターの縁の内側にできるもうひとつの輪で、衝突の衝撃から数秒以内に起こる反動により形成される。この調査によって、研究者らは、あの日放たれた驚異的な力の謎を解明することを目指している。

NATIONAL GEOGRAPHIC
恐竜の姿は化石として、そして鳥(参考)として目にすることができるのですが、その大半が突如として姿を消した6550万年前の隕石衝突は恐竜たちにどのような影響をあたえたのでしょうか。最新の研究では人間が想像することも難しい、恐竜を根絶やしにするには十分過ぎる威力があったことがわかりつつあるそうです。

記事によると今から6550万年前、メキシコ湾ユカタン半島付近に落下したと考えられる巨大隕石は衝突によりTNT火薬換算で100兆トン分という桁違いのエネルギーを放出したと考えられています。これにより衝突地点には直径185km程度のクレーター『チチュルブ・クレーター』が出現。宇宙に舞い上がった岩石などが地表に落下し地球規模で大火災が発生しするなどし地球上の生物の実に8割が姿を消したと考えられています。

では衝突地点付近ではどのようなことが起こっていたのでしょうか。研究者によると少なくとも1,000km以内にいた場合、即死するか数秒以内に火だるまになって死ぬだろうと予想しています。これは衝突で発生する放射熱によるもので瞬間的に発火するほどの熱を帯びているとしています。

もちろん熱いだけではありません。隕石の衝突によりメキシコ湾を中心に高さ305mの津波が押し寄せる他、8分後には舞い上がった土砂が地上に降り注ぎその高さが最大で1kmになったとしています。第一波を逃れたとしても45分後には時速965kmの衝撃波が地上を駆け抜け、生きていた生物に止めを刺したとのことです。

地獄のような環境になるのは隕石が衝突した付近で少なくとも地球の裏側には影響は及ぼなかったものの宇宙に舞い上がった岩石が地上に落下することで著しく気温が上昇した他、大気中にチリが舞ったことで太陽光が遮られ最大で数年にわたり地上では薄暗い日が続いたとされています。この時地球は寒冷化が始まり多くの種を絶滅に追いやったと考えられています。

繰り返される大量絶滅

地球では大量絶滅が何度も発生しており6550万年前のものを含め5度あったと考えられています。その中でも地球史上最大ものとして約2億5100万年前のペルム紀末の大量絶滅では海生生物のうち最大96%、全ての生物種で見ても90%から95%が絶滅したと考えられています。

それでも生命は途絶えることはなく、その種の一つとしてペルム紀末の大量絶滅では酸素不足により横隔膜による腹式呼吸を身につけた種もおりこれらは私達人間を代表する哺乳類の先祖となっています。