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楽器に興味が無い人でもストラディバリウスはご存知の方も多いのではないのでしょうか。価格にして安くても1億円はするなどというストラディバリウスなのですが、実は現代に作られたもののモノのほうがはるかに良い音色を出すことが明らかになっているそうです。

15世紀から16世紀にかけイタリアの弦楽器制作者アントニオ・ストラディバリにより製作されたバイオリン、ストラディバリウス。現在600艇あまりが残っているとされており、その多くはプロのバイオリニストから収集家が保有しているのですが実は世界最高峰と称される一方、その音色は現代のバイオリンよりも明らかに劣っているという研究が報告されています。

ストラディバリウスと現代のバイオリンを目隠しで演奏した結果の「両者に大差なし」という結論は本当か? - GIGAZINE

この研究は2010年のものが有名で、米インディアナ州で開かれた国際コンテストに出場する21人のプロバイオリニストに協力してもらい楽器がよく見えないよう眼鏡をしたうえでストラディバリウスや現代の最高級バイオリンなど計6挺を演奏しました。このうち一番いい音色だったのか質問したところ現代のバイオリンの方が評価が高く、ストラディバリウスはむしろ評価が低くでてしまったというものです。

ストラディバリウスと現代のバイオリンの音色については実は2012年に再度研究が行われており、こちらではフランスの音響専門家やアメリカのバイオリンメーカーの指導のもと実験環境を整えて実施しました。集められたのはプロバイオリニスト10人を含む観客でストラディバリウス5艇、18世紀イタリア製のバイオリン1艇、そして現代の弦楽器製作家が作ったバイオリン6艇の12艇でそれぞれを聴き比べました。
視聴に関してはプロバイオリニストが持ち込んだバイオリンとの聴き比べやピアノ伴奏の有無、演奏者をチェンジするなど1艇につき演奏合計で75分、それを2回に分け実施したとしています。



12艇をそれぞれ点数で評価したものとしてトップの成績だったのは現代に作られたバイオリンでこのバイオリンに関しては「最も気に入ったバイオリン」、「2番目に気に入ったバイオリン」とプロバイオリニスト8名が回答しました。一方、黄金期に作られたストラディバリウスが3位に入ったものの、最下位としてストラディバリウスが選ばれるなど音色に関しては現代のバイオリンには太刀打ち出来ないことが分かったとしています。
また音色を聞いて現代のものか古い時代のものか聴き比べを行ったもののプロの耳でも明確に判断することはできなかったとしています。


少なくとも音色に関してストラディバリウスは数億円という価値はないことはこれらの研究で明白となりました。ただ、現代のバイオリンとストラディバリウスの演奏会があった場合どちらの音色を聴きたいのかといえばストラディバリウスであり、人に聴いてもらうという楽器本来の魅力については現代のバイオリンとは天と地ほどの差が有るのではないかと考えられます。