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今年4月、理論物理学で有名なスティーヴン・ホーキング博士らにより発表されたのは光速の20%の速度で飛行し太陽系外惑星の探査を行う探査機です。しかし、レーザーを受ける『帆』の厚みを原子数個分の厚さにしなければならないなど技術的に難しいことが明らかになりました。 

Breakthrough Starshotと名付けられた探査計画はロシアの実業家ユーリ・ミルナー氏が出資しているもので、太陽系から最も近い太陽系外惑星ケンタウルス座アルファ星に探査機を送り込もうというものになっています。

光速の20%の速さで飛ぶ小型探査機計画「ブレイクスルー・スターショット」が直面せざるを得ない危険とは? - GIGAZINE

この計画が発表されたのは今年4月。具体的には探査機は縦横3m程度のサイズで重さは10g未満となっています。探査機は宇宙で開いた状態で展開し放出。その後、地上に建設された出力100ギガワットのレーザー照射装置『Light Beame』を使用し帆に向けレーザーを照射、探査機を加速させるというものです。
想定されている速度は秒速6万km、光速の約20%です。人工物としては最速で移動しているボイジャーであっても7万年ほどかかってしまうケンタウルス座アルファ星まで約40兆2336億kmの距離を20年で到達可能で、観測データを4年かけ送信するというものになっています。

この計画に関してレーザーを受ける『帆の厚み』を原子数個分にする必要があるという極めて製造が難しいモノになっているそうです。また観測装置はシリコンウェハーと呼ばれる集積回路(CPUやメモリ)に使用されているものにアンテナやカメラといったものをすべて積み込むとしています。
ただこれらに関しては宇宙放射線の影響や微量に存在する水素といった分子の影響を受け到達前に破壊される可能性が考えられます。そのため、グラファイトで覆うなど対策が考えられているのですが帆に原子などが衝突したことにより予想外の減速が発生したりルートがそれてしまう恐れがあるなど問題は山積しているといいます。

ちなみに。探査計画では1回の打ち上げで1,000機あまりの探査機を一度に飛ばすとう物量作戦にでるとのことです。



先日発表されたとおりケンタウルス座アルファ星のプロキシマ・ケンタウリには地球質量のおよそ1.3倍という岩石惑星が公転していることがわかり液体の水も存在する可能性が高い考えられています。(参考)

太陽系内の惑星でも望遠鏡等では地表の様子まで分からないように最終的には探査機を送り込み直接観測を行う必要があります。一方で技術面でも追いついていない部分が多く将来的にこの探査機が開発されるのかについても誰にも分からないといったところなのでしょうか。