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国内外の複数メディアによると、ロシア南部にある巨大な電波望遠鏡『RATAN-600』が昨年5月、地球から見てヘラクレス座の方角からノイズとは異なる信号をキャッチしたと報じられています。これが地球外知的生命体が発信したものかは分からないとしています。写真はRATAN-600。

「Centauri Dreams(ケンタウリ・ドリームズ)」というウェブサイトを運営するポール・ギルスターの記事によると、地球外知的生命の探査を行っているイタリア人の天文学者クラウディオ・マッコーネらのチームが、「HD164595の方向からの強い信号」を検知したという。

WIRED.jp
この研究はイタリアの天文学チームがグルジアに近いロシア、ゼレンチュクスカヤ郊外にある『RATAN-600』という電波望遠鏡で偶然観測されたものだとしています。方角はヘラクレス座の方角で「HD164595の方向からの強い信号」としているのですが、あくまでその方角に太陽系外惑星があるというだけであってこの惑星系から発信されたというものではありません。

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参考:直径600m、895枚の反射鏡からなる巨大施設―ロシア : ZAPZAP!

観測された電波は『波長2.7cmで振幅は1mJy(11GHz)』で、信号の強さを周波数との相関関係で示した情報は無いとしています。SETI(地球外知的生命体探査)の研究者によると「観測されたシグナルが宇宙人からのものだとはまだ誰も確認できていません。ただし観測を行ったのは信頼のおける研究者で信号もただのノイズとは思えない強さなのです。もしこのシグナルが地球外文明からのものだとすればそれは地球よりもずっと進んだ文明を持っていることになります」としています。

なぜ電波だけで地球より進んだ文明だと判断できるのかという理由に関して、地球から95光年離れた惑星系HD164595から発せられたと仮定した場合として、受信した電波の強度から考えると膨大なエネルギーが必要となるためです。
観測された周波数11GHzの信号を360度全宇宙に発信した場合、100億ワットの100億倍という桁違いの電力が必要とのことです。これは『カルダシェフの定義』という宇宙に存在するであろう文明のタイプを進展度を表したものでは『タイプII文明』に匹敵しており、映画に出てきそうな恒星規模のエネルギーを自在に使う文明であると導き出せるとしています。
ただし、地球にダイレクトに届けた場合は地球文明よりも一歩進んだ程度でも可能だとしているのですが、それでも出力は1兆ワットほど必要だとしています。(参考)

今回の観測結果に関しては地球上、もしくはその近辺で発生した天体現象や人工的なものによる電波を誤検出した可能性も指摘する学者も多いとされています。また直ちに観測を再開する必要があるにも関わらずSETI側に報告されたのは1年あまりが経過した今頃になったのかという点も気になるところです。