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方言といえば高度な会話を行う人間のみ見られる特徴かと思いきや実はそうではないそうです。イギリスの大学が行った15年あまりの研究によると、実は特定の魚は『警戒する音』など音を出している他、地域によって音の出したが異なることが分かったそうです。(写真はヨーロッパに生息するタラ)

エクセター大学の海洋生物学者であるスティーヴ・シンプソン教授は、15年間にわたって魚の話を聞き続けてきた。同教授は、魚が獲物を追っているときや繁殖シーズンなどにどのような音を出すのかを研究してきた。

シンプソン教授によれば、魚にはそれぞれの生息地固有の「方言」があるという。

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今回研究の対象となったのは世界に生息する特定のタラの一種なのですが、実はこのタラは浮袋を使用し様々な音を出しているそうです。記事によると縄張りを主張したりまたは天敵が来たと警戒する音、そして求愛行動などで見られるとしています。

個の音が具体的にどのような海域差があるのかという点に関して研究者によるとアメリカ側に生息するタラは『ドシンドシン』という低音を出す一方、ヨーロッパ側のタラは高音で唸り声のような音を発し続ける特徴があるといいます。このように同じタラでもアメリカ側とヨーロッパ側では少なくとも違った音を出すことは分かっていたそうです。

なぜこのような方言があるのかに関しては具体的に分かっていないのですがタラは『自己主張が強い生物』と知られているそうで、また一度住み着いた海域は世代を超えて100年以上、場合によっては数千年も利用すると考えられているそうです。つまり異なる音が変化しながら海域の方言として何世代も受け継がれているということになりそうです。

実はこの研究には続きあり、近年の地球温暖化による海水温の上昇から生息範囲が北側に移動しており今後アメリカ側とヨーロッパ側のタラが混ざり合う可能性があると考えられているそうです。研究者によるとその時タラはどのような行動を取るのか、方言はどうなるのか突き止めたいと話してます。

ヒットソングが生まれるクジラの世界

今回の研究は音による『方言』の違いでしたが実は同じ海洋生物には遥かに高度な音を出す生き物が確認されています。それはザトウクジラをはじめとした種で、南太平洋クジラ研究協会が10年もの歳月をかけ太平洋におけるザトウクジラ6集団を追跡し続けた結果わかったものです。

クジラ達が求愛で使用するという歌は繁殖期ごとに流行の歌というものがあり、毎年変化し続けていることが確認されています。また流行の歌が南の太平洋で生まれた場合、西から東の集団に伝わっていることも確認されています。(参考)