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先日、世界自然保護基金(WWF)により発表された資料で今後世界の野生動物が1970年に比べ2/3まで個体数が減少するなどとしています。かなり衝撃的な内容なのですが、実はこの発表に反論する声が早速上がっていると報じられています。

2つの著名な自然保護団体がこのほど、世界の野生動物についてセンセーショナルな予測を発表した。2020年までに、脊椎動物の個体数が1970年の水準の3分の1まで減少する可能性があると警告している。

新たな報告書「リビング・プラネット・インデックス」は、世界自然保護基金(WWF)とロンドン動物学協会(ZSL)が作成した。それによると、動物の個体数は1970年から2012年までに58%減少したという。

NATIONAL GEOGRAPHIC
今回の発表はロンドン動物学会(ZSL)が支援しWWFがまとめた「Living Planet Report」(生きている地球レポート)というものに記載されていた内容でそこには『1970年以降、陸上、海水、淡水などあらゆる場所に住む種の生息数は60パーセント近くも減少しており、この傾向が続くと世界の野生動物は2020年までに(1970年時に比べて)3分の2という衝撃的な水準にまで減少する可能性がある』と書かれていたことです。
合わせて、『過去このような絶滅は数十万年、数百万年という時間で発生していたものの、産業革命以降は極めて短期間に発生している』とも警告しています。

確かにうなぎのように「○○が絶滅に瀕している」などと最近よく耳にする言葉なのですが、WWFの発表は学者にどう受け止められているのでしょうか。

NATIONAL GEOGRAPHICによると、同協会の米デューク大学の保全科学者 スチュアート・ピム氏によると「世界中から集めた別個のデータセットを全てミキサーに入れて、1つの数字にまとめ上げようとするのは無責任です」とした上で「(発表された数値は)不誠実であり、助けになりません」と話しているそうです。

今回発表されたデータは世界中の実地で集めた約3700種、1万4000以上の個体群におよぶ脊椎動物のデータを用いているとしているものの、ピム氏によると「個体数は地域により幅広いバラツキがある」としており「不確実性も大きすぎて、全ての種について悲惨な結末を予想することはできない」としています。

また、他の学者によると「無数の種で大量の個体が減り続けている」としている一方で絶滅が危惧されているライオンやトラに関しては保護活動により個体数の減少が下げ止まっていることを挙げており、今後も保護活動に力をいれることでWWFのような結果にはならないという趣旨の発言もしています。

なぜこのような調査を元に発表されたのかに関して、ピル氏は「論理的に正しい科学よりも、注目を浴びることを目指しているのかもしれません」と主張しています。


私達のように都市部で暮らしている人間にしてみては野生動物がどのくらい増減しているのかは発表されるデータを鵜呑みにすることしかできないのですが、WWFの報告がどのようなものであれ少なくとも人間以外の動物は減少傾向であることは間違いないということなのでしょうか。