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日本、及び中国の複数メディアによると今月10日、中国人民解放軍空軍の戦闘機、爆撃機、情報収集機の複数来が宮古海峡を通過したことで自衛隊機が緊急発進した際、自衛隊機が接近して妨害弾を発射したとして中国国防部は日本側に対し「重大な懸念と抗議した」などと発表していることが明らかになりました。

2016年12月10日、中国国防部の楊宇軍(ヤン・ユージュン)報道官は、同日午前に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡から西太平洋に向かう定例の遠洋訓練をしていた中国空軍機に対し、日本の自衛隊のF15戦闘機2機が「妨害弾」を発射するなどして中国空軍機と人員の安全を危うくしたと発表し、日本側に重大な懸念を伝え、抗議したことを明らかにした。環球網が伝えた。

Record China
防衛省の発表によると今月10日午前から午後にかけ宮古海峡を通過したのはSU30戦闘機2機、H6爆撃機2機、TU154情報収集機1機、Y8情報収集機1機の計6機です。これにより航空自衛隊はF-15を2機、スクランブル(緊急発進)させました。
通常この手のスクランブルでは、武装した戦闘機を発進させ対象機まで目視できる距離まで近づき、場合によっては対象機の写真撮影などを行っています。

さて、現在のところ中国国防部のみが主張している自衛隊機が『「妨害弾」を発射するなどして中国空軍機と人員の安全を危うくした』というのはどういう意味なのでしょうか。
私が知る限り自衛隊に『妨害弾』などという『弾』は存在していません

考えられるのは『チャフ』と『フレア』です。中国語ではどのように書かれるのかというとチャフは『干扰箔』フレアは『热诱饵弹』になります。しかし妨害弾は『干扰弹』になります。漢字ではチャフに似ているのですが、干扰弹で検索してみると『热诱饵弹』の画像等が多くでてくることから、自衛隊機はフレアを放出したことで中国軍側に『人員の安全を危うく』する行為を行ったということになります。

▼フレア放出
フレア

▼ロシアの航空ショーで使用されているフレア。編隊飛行時に使用しても特に問題はない。
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そもそもフレアとは赤外線ホーミング誘導ミサイルからの回避行動を行う時に放出される高温の燃焼物です。これがどのタイミングで放出されるのかは不明なのですが、少なくとも敵機からミサイルが発射された時点で放出され“おとり”となりミサイルを回避するというのがフレアの役割です。

防衛省によると「自衛隊法にのっとった行動をしている」としており中国のいう謎の妨害弾やフレアを使用したとは直接は言ってはいません。仮に中国側の主張の通り自衛隊機がフレア使用したとすると常識的に考えれば自衛隊機は中国軍の戦闘機にロックオンされ回避行動を取った際に自動的に放出したということが考えられます。
実は過去にも中国軍機が日本の自衛隊機がロックオンしフレアを放出したことがある言われており、同様のことがまたも発生した可能性があります。

▼フレアを放出するF-15


もちろん、攻撃能力の無いフレアの放出で戦闘機を落とすということは3流シューティングゲームでも無理な話であり、何故中国側が『中国空軍機と人員の安全を危うくした』と主張したのかは不明です。その上で常識的に考えられる状況からは当時危険な状態に置かれていたのはフレアを放出することになった自衛隊機側であり、いつものような難癖だとしても今回のものは相当質が悪いと言わざるを得ません。