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多くのロケットを打ち上げている国といえばロシアが有名なのですが、ロシアが運用しているプロトンシリーズのロケットに使用されているエンジンに低品質の合金を使用していたことが明らかになり開発責任者が辞任したと報じられています。 

ロシア宇宙開発専門サイトのrussianspacewebの記事によると、ロケットエンジンの地上燃焼試験を行った結果、複数の不具合が見つかったことにより、最近、頻発しているプロトンロケットの打ち上げ事故の原因は、エンジン製造工程における劣悪な品質管理が原因である可能性が判り、エンジン製造部門の責任者が引責に追い込まれたとしています。

Newsline Business
プロトンMは主に旧ソ連時代から現在まで無人のモジュールや衛星、物資補給船、また商業衛星の打ち上げを行なっており、国際宇宙ステーションが周回しているような地上400kmの低軌道に23トンあまりの質量を送り込むことができるロケットです。

1960年代から現在まで改良が加えられながら400機以上も打ち上げられている非常に有名なロケットになるのですが、近年打ち上げ失敗が立て続けに発生するなど異常な状態が続いていました。このことに関し、プロトンMで採用されているエンジンを開発・製造しているVoronezh Manufacturing Plant(ボロネジ機械工場)の製造責任者が辞任したという内容です。



プロトンMに関しては2001年から2016年まで129回の打ち上げが実施されており内12回が失敗しています。原因は幾つかあるのですが2013年7月3日、上記の動画の打ち上げ失敗は角速度センサー(DUS)が逆に取り付けられていることが原因で発生したとされています。これ以外に多いのはエンジンの不具合です。

ボロネジ機械工場はロシア最大の航空機生産工場の一つで、高い技術力からプロトンMロケットの2段目のエンジン『RD-0210』3段目『RD-0212』も製造しています。具体的な不具合箇所はエンジン内で高速回転するターボポンプとしており、金属素材を貴重な耐熱合金ではなく安価で壊れやすい素材を違法に使用していたとしています。

2014年6月ロシアの日刊紙イズヴェスチヤによると2013年4月の段階で「RD-0210を検査したところ内部から筒状のアルミニウム製部品が複数個発見していたことがわかった」と報じており、ロシア保安庁が調査を実施しフルニチョフ記念宇宙科学生産センターの職員15人を取り調べ不正を行った人物を特定していました。
しかし、不正は現在も続けられていたと考えられ既に製造されている10数基のエンジンは全てリコールされているとのことです。