ハクチョウ

水面に浮かぶ白鳥は冬の渡り鳥として知られていますが不思議になことに寒い冬に日本に飛来し寒いうちにロシアに帰っていきます。「温かい春まで居ればいいのに」と思ってしまうのですが、なぜ白鳥はわざわざ寒いところに帰るのでしょうか。

白鳥が北海道に飛来するのは10月上旬です。それから11月になると本州にも飛来し始め日本で年末年始を過ごし3月になると再び北海道に移動。4月の終わりには多くの白鳥がシベリアやコリマ川、インディギルカ川という東ロシアに帰っていきます。こう見るとわざわざ寒い冬に日本にやってきて再び寒いロシアに帰っていくという行動になり不思議でならないのですが、いったい彼らは何を求めて日本にやってくるのでしょうか。



調べてみたところ、白鳥が日本に飛来する理由は越冬のためです。冬になるとシベリアやロシア東部の川は北海道よりも厳しい寒さで凍ってしまい餌が取れなくなってしまうそうです。そのため、氷が無い南の日本や中国に移動し餌を食べ、繁殖地となるロシアの湖や川の氷が溶け出す頃に帰っていきます。

私達から見ると「寒い冬にやってきて寒いところに帰る」という行動に見えてしまうものの、白鳥からすると「暖かい日本に行き暖かくなった繁殖地に帰る」ということになります。

ハクチョウ・カモ類の飛来経路及び移動状況について | 渡り鳥関連情報

ハクチョウの寿命は15年前後(最長で102歳)あると言われています。生まれたハクチョウはその年のうちに長距離を飛行できる力を身に着け3000kmほど離れた日本を目指し越冬します。

▼オオハクチョウの分布。黄色が繁殖地で青色が越冬地。
オオハクチョウの分布


一方、公園や湖に一年中いるハクチョウはコブハクチョウという種です。これらはかつて飼い鳥としてヨーロッパから輸入され野生化した個体で、日本でも越冬のため移動はせずにその場で生き続ける個体が多いとのことです。