太陽系

太陽系には地球を含め水星から海王星まで8つの惑星が公転しています。ちょっと前までは冥王星を含めた9つが惑星とされていたのですが現在は準惑星になり惑星からは外されています。そんな中、NASAのとある人物は「冥王星も惑星だ」とする独自の定義を発表しているそうです。ただし彼らの主張によると『月も惑星』に入ることになるそうです。

2006年に発表された国際天文学連合(IAU)の定義により、準惑星に格下げとなった「冥王星」。当時はその変更に驚いた人も多いでしょう。しかしNASAの科学者が新たに発表した定義によれば、冥王星や地球の月までもが惑星へと含まれることになります。

NASAのAlan Stern氏と彼のチームが発表したこの新定義では、惑星と恒星(太陽)の関係よりも物質的な構成が重要になります。つまり、太陽を周回していなくても惑星になれるというのです。

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まず、現在の惑星の定義とは一体どのようなものなのでしょうか。2006年に多くの天文学者らに再定義された惑星の定義は

1.惑星は太陽の周囲を公転していること(恒星や衛星は省く)
2.自ら質量によって球形が維持できること
3.その軌道から他の天体を一掃していること


の3つです。3つ目を補足すると例えば小惑星帯に比較的大きい天体が公転していて場合、公転軌道付近に大小様々な小惑星が存在しているため「他の天体を一掃していない」と判断され惑星から外され『準惑星』になるという意味です。

一方、アラン・スターン氏率いる研究チーム独自の定義はこのようになります。
1.核融合をおこさない恒星を下回る質量の天体
2.自ら質量によって球形が維持できること
3.天体の軌道は考慮に入れない

冒頭、『月も惑星』になるとしたのは3つ目の『軌道』に関するものです。アラン・スターン氏らによると核融合を起こさず球体をしていればその軌道がどうであろうと全て惑星にしてはどうかという考え方です。
この定義を現在の太陽系に当てはめた場合、月以外も冥王星やその衛星『カロン』、エウロパ、エンケラドス、イオ、ガニメデ、カリストなど多くの衛星が惑星の仲間入りをすることになります。

アラン・スターン氏によると2006年に再定義された惑星は「矛盾を抱えている」などと主張しており、現在の定義を再考慮するよう国際天文学連合に働きかけを行っているとしています。ちなみにその矛盾とは地球、火星、木星、海王星は小惑星と軌道を共有しているためです。つまり地球であれば地球に落下する恐れのある地球近傍小惑星等が多く確認されているため『3.その軌道から他の天体を一掃している』には当てはまらず準惑星になるという主張です。

何故惑星にこだわるのか

結局の彼が何を狙っているのかというと冥王星の惑星復活としか言えません。なぜそこまで惑星にこだわっているのかについては。冥王星は1930年アメリカ人天文学者クライド・トンボー氏により発見された天体です。そのため冥王星の発見はアメリカ人にとっての誇りでありそれ以降、特別な愛着を抱いている人が多いとされています。その1人がアラン・スターン氏になります。

▼アラン・スターン氏
アラン・スターン氏

むちゃくちゃとも言える定義を見ると非科学的なマッド・サイエンティストのようにも思えてしまうのですが、彼はNASAの冥王星探査機ニュー・ホライズンズ主任研究官という立場の人間です。
しかし、ニューホライズンズが冥王星に到着する前、打ち上げから僅か半年後に惑星から準惑星になったこともあり惑星の再定義に批判する声明を発表していました。