円形滑走路_2

世界に存在する滑走路のそのほとんどは直線です。滑走路の規模は運用する航空機により様々なのですが、研究を進めているthe Endless RunwayによるとEndless Runway project(エンドレス滑走路計画)という坂のついた円形滑走路を提案しているといいます。

ジェット旅客機の離着陸を可能にする本格的な飛行場を整備するためには広大な用地を必要とすると同時に、飛行場は騒音問題を解決する必要もあり、飛行場の整備は容易には進まないのが普通だったが、狭い土地でも大量の航空機の離着陸が可能で、しかも騒音問題も抑えることができるという画期的なアイディアをEUが公表し、航空業界の関心を集めている。

Business Newsline
Endless Runway project(エンドレス滑走路計画)はオランダ、ドイツ、フランス、スペイン及びポーランドの航空宇宙機関の資金提供によりthe Endless Runwayが研究を進めているものです。現在研究が進められている円形滑走路は中心にターミナルがある直径3kmの円形となっており、滑走路自体は『競輪トラック』のように外側に行くほど角度のついた坂になっている特徴があります。

▼円形滑走路から飛び立つイメージ
円形滑走路_1
Photo:the Endless Runway
なぜ直線ではダメなのか。研究チームによると旅客機の離発着数は15年ごとに倍増しており今後空港を成長させるにおいて従来型の滑走路では限界があると見ているそうです。そこで円形滑走路にすることで1つの滑走路で同時に3機の旅客機を着陸させたり離陸させることが可能で同様の規模を一般的な滑走路で実現させるよりも必要な面積が少なくてすむとしています。

また競輪トラックのように坂になっていることで旅客機から発生する騒音が外部に届きにくいこと、旅客機が着陸した際は発生する遠心力により効率的に減速させることが可能としています。合わせて横風の影響が少なく向かい風で着陸することができることや、どの方向からも離発着することができ飛行経路を自由に変更することができるため住宅地上空を避けることが可能だと主張しています。



記事によると円形滑走路の発想自体は今から100年以上前、人類が航空機を発明した数年後にあたる1910年代に誕生しており第二次世界大戦後に航空機が大きく進化した時代に複数の特許が取得されていたといます。
しかし円形滑走路は特別な教育が必要でありシミュレーターが存在しなかった時代では離発着自体が難しいという理由から採用されることはなかったとのことです。