ディープスペーストランスポート

アメリカが2030年代に行うとしているのは有人火星探査です。この計画についてアメリカ航空宇宙局(NASA)は今月、月付近に小型宇宙ステーションを建設しそこから火星に向かうという内容を発表しました。

現在NASAは2030年代の有人火星探査を目指していますが、その計画はいくつかの段階を踏んだものになりそうです。同宇宙局はワシントンDCで開催された「Humans to Mars Summit」にて、有人火星探査計画の最初の2フェーズの内容を明かしました。

NASAは深宇宙探査プログラム「NextSTEP」の一環として、月の近くの居住区「Deep Space Gateway」と火星への探査船「Deep Space Transport」を計画しています。

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今回発表された計画を大雑把に紹介すると、まず月に近い軌道に小型宇宙ステーション『ディープ・スペース・ゲートウェイ』を建設し、各種試験を行なった後『ディープ・スペース・トランスポート』を使用し有人火星探査を行うというものです。



▼小型宇宙ステーション『ディープ・スペース・ゲートウェイ』
ディープスペースゲートウェイ_1

この計画は今年4月ボーイングが提唱したものなのですが今回具体的な内容が発表されました。それによると月軌道付近に建設されるディープ・スペース・ゲートウェイは来年2018年から2026年にかけ4度の有人飛行を含むミッションで建設されます。2027年以降については有人宇宙船(オリオン宇宙船)を使用したディープスペースゲートウェイに人員を送り込み1年あまりの長期滞在、ディープ・スペース・トランスポートを使用た火星有人探査に必要な物資の輸送を行い2030年以降に実施される有人火星探査計画に備えるとしています。

▼ディープ・スペース・トランスポート
ディープスペーストランスポートビーグル

火星有人探査はディープ・スペース・トランスポートが使用されるとしています。この機体は従来の化学及び電気推進が搭載されている有人惑星探査機です。同機は打ち上げ後ディープ・スペース・ゲートウェイに送られ最終組立が行なわれるとしています。仕様としては最大6人の乗員を運ぶ生命維持装置や与圧スペースを搭載しており、これを使用し火星軌道まで乗員を輸送。そして火星地表に向け宇宙船を切り離し大気圏に再突入し有人火星探査を実施します。

全体的な有人火星探査への宇宙飛行士の移動方法としては地球とディープ・スペース・ゲートウェイ間はオリオン宇宙船を使い、火星まではディープ・スペース・トランスポートが使用されるというものです。

小型宇宙ステーションとなるディープ・スペース・ゲートウェイは火星有人探査への基地となる以外も月探査などにも使用する総合的な研究施設という位置づけ建設されます。これは予算が通りやすく仮に火星探査を別方法で実施するという案や有人月面探査案が出た場合でも実施可能なものとして調整されていると考えられます。

NASAの有人探査プログラム責任者グレッグ・ウィリアムズ氏は、この計画が状況に応じて「進化する」と表現しており官民や国を問わず幅広いパートナーシップによって大きく変貌していく可能性が高いとしています。(参考)