火星12_1

今月14日午前、北朝鮮が発射した弾道ミサイルは地上2,000kmまで上昇し800km先に落下したと報道されていますが、ミサイルに使用されていたエンジンについて実は今年3月に試験された新型が搭載されていた可能性があります。

連日報じられているように今月14日北朝鮮が発射した火星12(ファソン12)という弾道ミサイルについて、搭載されていたエンジンは今年3月19日に試験された推力80トン級エンジンが使用された可能性があります。

まず今回発射されたミサイルについて似ているもののに『ムスダン』があります。これは使用している車両も似ているのですが火星12はミサイル自体がムスダンよりも長く、また弾頭部分の形状が大きく異なっています。
さらにエンジン部分を見るとムスダンは8基の固定または稼働式の安定翼が搭載されているものの火星12には搭載されていませんでした。またエンジンについてもムスダンはメインエンジン1基に2基のバーニアスラスタ(姿勢制御用補助エンジン)が搭載されているものの火星12には少なくとも1基のメインエンジンに4基のバーニアスラスタが搭載されているという違いがあります。

▼ムスダン、中央のエンジンの左右に2基のバーニアスラスタの燃焼が確認できます
ムスダン

▼火星12
火星12

北朝鮮が公開した写真の中からはバーニアスラスタの数はわかりにくいのですが、飛行する様子を下から撮影した動画では少なくとも3つのバーニアスラスタの燃焼が確認できたためムスダンとは異なるものが使用されていることはほぼ間違いありません。ちなみに4つのバーニアスラスタを搭載したものは過去にテポドン2で確認されています。

火星12に搭載されたロケットエンジンはどのようなものなのかについては以前紹介した記事でまとめたものがあるのですが推力は80トンで試験で行われた燃焼時間は200秒としていました。

参考:北朝鮮の新型エンジン、中距離弾道ミサイル用のエンジンか : ZAPZAP!

▼今年3月に撮影された火星12に搭載された同じエンジンと考えられるもの
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そもそも「火星」とはどういう意味があるのかは不明なのですが、北朝鮮では弾道ミサイルを全て『火星』という名前をつけておりスカッドは「火星5」、ムスダンは「火星10」などとしています。