XCORエアロスペース

宇宙船『リンクス』を開発していたアメリカの民間宇宙ベンチャー『XCORエアロスペース』について、先月6月30日までに全従業員を解雇していたと報じられています。

米国の宇宙ベンチャー、エックスコア・エアロスペース(XCOR Aerospace)は、昨年従業員の半数を解雇していたが、残りの全従業員についても解雇することを明らかにした。同社によると、事業は今後も継続するという。エックスコアは声明で次のように述べている。

Forbes Japan
カリフォルニア州に本社を置くエックスコア エアロスペース(XCOR Aerospace)は滑走路から飛び立ち高度100km以上の宇宙空間を目指す宇宙船『リンクス』を開発していた企業で将来的に商業宇宙旅行を目指す計画でした。
今回報じられた内容によると、エックスコア エアロスペースの一部の従業員とは業務委託契約を結び知的財産の維持及び社員の再雇用が行えるよう資金調達を図るとしています。

エックスコア エアロスペースは2016年の5月の時点でリンクスの開発に関わっていた従業員の1/3が解雇していました。最近ではULAと共同でエンジン開発を行なっていたもののその契約が打ち切られていたといいます。結果的に開発する資金不足に陥り事業の継続が不可能となりました。

同社CEOによると、「エックスコアには高い専門性と、大手企業にはない迅速な開発能力があり、買収に関心を持つ企業は少なくないだろう」などと主張しているとのことです。

▼リンクスによる民間宇宙旅行の構想


実際のところリンクスはどのくらい開発されいたのか。リンクスのMark Iというプロトタイプは当初2015年に試験飛行が実施されるとしていたものの結局これすらも実施されていませんでした。厳しい言葉で例えれば、資金不足の影響も理由の1つなのですが機体の開発すらもまともに行うことができず、残されたエンジンの開発すらもまともにできていないという状態であり当初から延期を繰り返すなど技術面においても相当な問題があったものと考えられます。

その上で「買収に関心を持つ企業は少なくないだろう」などと楽観視しているものの、その程度のエンジンを必要としている企業はアメリカでも数社しか存在していないと考えられ既に今から宇宙船開発を行なったところでヴァージン・ギャラクティックやブルー・オリジンからは大きく出遅れる形になるためよほどの新技術を用いたロケットエンジンでもない限りこの話しは現実的なものではありません。

奇跡的に資金を獲得し事業の再開を目指したところで優秀な人材は集まりにくいと考えられ当初予定していた民間宇宙旅行はこれをもって完全に終了したということになります。