500メートル球面電波望遠鏡_1

2016年、中国南西部に完成したのは直径500mの電波望遠鏡です。電波望遠鏡望遠鏡としては世界最大サイスなのですが、現在多くの観光客が周囲に訪れており宇宙観測に問題が発生する可能性があると指摘されているそうです。

貴州省黔南プイ族ミャオ族自治州平塘県。2011年3月に自然の地形を利用し建設が開始され2016年7月に完成したのは『500メートル球面電波望遠鏡(FAST)』です。これは電波望遠鏡は光学望遠鏡とは異なり『電波』を収束させて天体を観測する装置なのですが、観光客が発生させる電波が今後問題になる可能性があると中国メディアが報じています。

How noisy Chinese tourists may be drowning out alien signals at the world’s biggest telescope | South China Morning Post

South China Morning Postによると、FASTを見学しようと平塘県に訪れた観光客は今年上半期だけでも400万人に達するとしており、これは同じタイプの電波望遠鏡『アレシボ天文台』のおよそ2倍の数だとしています。

500メートル球面電波望遠鏡_2
Photo:China Daily

電波望遠鏡は他の望遠鏡ど同じようになるべく人里離れたところに建設する必要があります。それは人類の生活環境が近くにあった場合、そこから発せられる様々な電波が観測機器に影響を与える『電磁汚染』が発生しているためです。そのためFASTの建設にあたっては周囲5km圏内の村民らに対して立ち退きまで実施していました。

FASTがここに建設されたのは人間も少なく電磁汚染も少ないという理由だったのですが、平塘県には現在46のホテルが建設されレストランは100軒以上作られるなど明らかに環境が変わりつつあるといいます。しかし、天文学者らは増え続ける観光客に対して特に平塘県側や観光客と対立することは避けたいとしており強く言い出すことができないでいるといいます。